「トヨタコレオグラフィーアワード2006受賞者公演『白井剛/THECO−ザコ−』」
企画・演出・振付・出演:白井剛(AbsT、発条ト) 音楽・出演:粟津裕介(fruity、発条ト)、森川祐護(Polygon Head)、尾引浩志(倍音S)、violin sherber chair/スカンク(NIBROLL、バネセンパイ、MEXI)、野村誠 全席指定(各種割引有り):2,500円〜3,500円

舞台監督:原口佳子 照明:森規幸 音響:牛川 紀政 主催:AbsT 提携:世田谷パブリックシアター 協賛:トヨタ自動車株式会社 助成:財団法人セゾン文化財団 制作:ハイウッド

2007年8月4日(土)〜5日(日)/シアタートラム/http://setagaya-pt.jp/
二年に一度開催される「トヨタコレオグラフィーアワード」は、国内の振付家の発掘と育成を目的にした公開選考会です。そんな2006年度の受賞者・白井剛さんによる受賞者公演でした。
「トヨタコレオ・・・」の特別ガラ公演との連続上演企画をはじめ、白井剛さんと演奏家によるコラボレーションが目玉になっている本作品。上演時間は休憩を含める、1時間45分ほどでした。

作品の紹介文で「演奏会選集」と謳っているように、白井さんの独舞が中心というよりは、白井さんとそれぞれの演奏家とのコラボレーションに、重点が置かれた作品だったように思います。「音楽」という目には見えない存在と、「舞踊」という目に見える存在のものが、劇場という空間で互いに影響及ぼしながら作品を立ち上げます。人や物との関わりにおいて生じる「コミュニケーション」を、確かに劇場で触れたような、見届けたような・・・。そんな貴重な体験でした。
昨年のトヨタコレオグラフィーアワードで、「次代を担う振付家賞」に輝いた白井剛の新作公演。コンテンポラリーでエキセントリックな音楽作曲家たちと一人の舞踊振付家による、演奏会選集。−−−−−WEB「世田谷パブリックシアター」より
白井剛さんも演奏家の方々も本当にカッコ良くて、まさに惚れ惚れするようなパフォーマンスが展開されました。楽器が舞台上にハの字に並んでいるだけのシンプルなステージで、さまざまな感情が生まれては消えていきます。非常に突出的なユーモアが多く盛り込まれていて、さり気無い間接照明や映像をはじめ、劇場でしか味わえないライブ感のある演出も印象に残りました。
大胆なキレ味と激しさがある白井さんですが、冷たく感じるほどの冷静な視点があり、非常に研ぎ澄まされた表現だったと思います。本当にカッコよくて魅了されていると、「体力の限界!」と叫びながら激しく踊ったり、ボソボソ呟いたり、いろんな意味で見逃せない存在でした。
耳や目に残ると言うよりも、肌に感触が残るような音楽でした。白井さんのダンスも然りかな、と。
ピアノは打楽器なんだな、と変な納得をしました(本当は鍵盤楽器に分類されますが)。野村誠さんによる足を使っての演奏に度肝を抜かれ、水泳や野球などのスポーツ的な動作を盛り込んでの演奏も、非常に面白かったです。こんなアクロバティックなピアノ演奏は最初で最後かも。
また、粟津裕介さんによる激しいドラム演奏中に、白井さんがドラムセットを次々と解体するのも凄まじかったです。白井さんは解体したドラムセットを移動していきますが、粟津さんも負けじと移動しながらも演奏を続けます。脳裏から離れないような、非常に面白い演出効果でした。