「横濱・リーディング・コレクション#3『岸田國士を読む!−Bプログラム−』」
『クニヲと俺と。(入門編)』出演:上枝鞠生(Hula−Hooper)、上田遥、大西智子(あなざーわーくす)、沖田愛(テアトル・エコー)、鯉沼トキ、杉岡阿希子(殿様ランチ)、平川道子、高橋美貴(あなざーわーくす)、吉田麻起子(双数姉妹)、菊川朝子(Hula−Hooper)、見学監督:梅澤和美(Hula−Hooper) / 『紙風船』出演:中島美紀(ポかリン記憶舎)、古屋隆太(青年団)

[音響]島貫聡[照明コーディネイト]伊藤孝(ARTCORE design)[舞台監督]小野八着(Jet Stream)[宣伝美術]オクマタモツ[記録撮影]升田規裕(M’s Video Group) [制作]薄田菜々子(beyond)[プロデューサー・総合ディレクター]矢野靖人(shelf)[主催]横濱・リーディング・コレクション実行委員会[共催]横浜SAAC(横浜舞台芸術活動活性化実行委員会)・横浜市市民活力推進局 日時指定・全席自由:¥2,200〜¥3,800(セット券など割引あり)

07年8月9日(木)〜12日(日)/相鉄本多劇場/ http://yokohama-reading.org/
矢野靖人さんがプロデューサーを手がけられる「横濱・リーディング・コレクション」は、今回で4回目を迎える企画です。今回は「日本で最初に近代的な台詞劇を書いた」と言われている劇作家・岸田國士を取り上げ、岸田作品4本を異なる演出家で、2つのプログラムに分けて上演します。
Aプログラム「動員挿話」はチャリT企画の楢原拓さん、「顔」をshelfの矢野靖人さん。Bプログラムでは「クニヲと俺と。(入門編)」をHula−Hooperの菊川朝子さん、「紙風船」をポかリン記憶舎の明神慈さんが手がけられる多彩さ。僕はBプログラムを拝見して来ました。

戯曲を片手に朗読する「リーディング」という形式を残しつつも、枠に囚われない大胆さが色濃く出色している仕上がりで、まったく色の違う2本に触れられたのは興味深い体験でした。
演劇に近いリーディング、又はリーディングに近い演劇、という印象でしょうか。上演時間は休憩を含む1時間30分弱。
Bプログラムの一本目、「クニヲと俺と。(入門編)」の使用戯曲は「かんしゃく玉」。男役も女役も女性キャストが演じる趣向をはじめ、語り手と動き手が入れ替わる構成で進行します。
ダンスシーンをはじめ奇抜な演出が随所に挿入され、崩しを重ねたような大胆な構造だと思いました。そんな作品構成から戯曲の真髄に近づくような魅力があり、非常に面白かったです。
Bプログラムの二本目は「紙風船」。研ぎ澄まされた独特の美意識が確立されていて、張り詰めた緊張感までも味わえる濃密な世界が立ち上がっていました。年季を感じさせる1脚の椅子、新聞をはじめとする小道具の使い方についても、残像が残るように印象が残っています。
2人が言葉を交わすことのない静寂さえも味わい深く、その世界に惹きこまれ、終演後も余韻が残りました。一つ一つの言葉、立ち姿、間、登場人物として舞台で呼吸していたような印象です。
アパアトとは名ばかりの粗末な貸室に住む夫婦。夫は失業中で、今日も仕事を探しに出かけている。そこへ二人を心配した友人たちが訪れる。友人達は毎日のように訪れているらしく、店を始めないかとか、奥さんを働きに出してはとかそんなことばかり。そして夫には、そんな友人達の親切が鬱陶しくてしょうがない。夫が失業中の家庭の悲喜を描いた岸田戯曲 『かんしゃく玉』で、「リーディングを演劇する、」「クニヲと俺と。(入門編)」
小さな家のなかで、交わされるとりとめもない会話。ある日曜日の午後、「行きたいところがあるわ。」と、夫婦は二人、子供みたいに想像の世界に入って行き ―――結婚一年目の夫婦の休日の会話を描いた作品は、気鋭の劇作家として注目を集めた初期の一幕劇にして代表作 『紙風船』。−−−−−WEB「こりっち」より