「青年団リンク・東京デスロック『unlock#2:ソラリス』」
出演:夏目慎也、佐山和泉、石橋亜希子、大竹直、永井秀樹(増田理は体調不良のため降板)

作・演出:多田淳之介 原作:「ソラリスの陽のもとに」スタニスワフ・レム 舞台美術:鈴木健介 照明:岩城保 予約:2,000円/当日:2,500円(日時指定・整理番号付自由席)

07年8月10日(金)〜14日(火)/こまばアゴラ劇場/http://www.specters.net/deathlock
多田淳之介さんが作・演出を手がけられる、「青年団リンク・東京デスロック」の新作公演。「unlockシリーズ」の第2弾にあたる今回の公演では、2004年に戯曲化と上演を果たしたスタニスワフ・レムの小説「ソラリス」を、テキストはそのままに新演出で新たに創作されました。
また、そんな戯曲が全文掲載されたフライヤーも注目の的。軽く目を通してから拝見したのですが、開演前には多田さんより物語の説明がありました。お陰でより作品が楽しめた気がします。
※この記事内には、今回の演出の核心に触れた表現(ネタばれ)が含まれています。

黒い緞帳で隠された舞台が姿を現したとき、ハッと息を呑むような感覚に包まれました。舞台にはプールのように水が張られており、中央には砂が敷き詰められた8角形の島が浮いています。水のなかには地球儀やウルトラマンの人形が浮いていて、華やかで大胆な色使いの照明で水色が変化します。役者さんは水のなかで泳いだり、水を掛け合ったり、常に戯れあいます。
役者さんが舞台上でポツリポツリと会話を交わしたり、沈黙の時間が驚くほど多くあったり、語り方も脈略がなく次々と変貌します。すべての出来事が突発的で突然に訪れるので、何度も繰り返し刺激を受け続けた、1時間40分弱の濃密で掛け替えのない体験でした。
対話という形式で言葉や接触を交わすものの、どの人物も心ここにあらずというか、成立しないコミュニケーションが舞台で体現されていました。本当にしたたかな演出だし、巧妙なテクニックだと思います。役者さんは役自身と良い意味での距離感があるというか、今まであまり触れたことのない手触りの演技でした。全体的にアプローチの仕方は豊富でしたし、奇抜で大胆な作品だと思いましたが、その要素や演出効果が「ソラリス」という作品の魅力に直結していると思いました。
淡々と進行する舞台ではぼんやりと徐々に、でも確かに「ソラリス」の世界が浮かび上がります。希望から絶望が生まれたり、逆に絶望から希望が生まれたり、複雑で混在した世界を思いもよらぬ方法で表現されていました。終演後には心地よい疲れと、強い余韻が心に残りました。
≪ストーリー≫−−−−−WEB「Yahoo!映画」より
近未来、未知の惑星ソラリスの軌道上に浮かぶ宇宙ステーションで異常事態が発生。その調査のために科学者クリスは地球を出発する。到着したステーション内は荒れ果て、先発の3人の科学者は皆、狂気の淵に立たされていた。そして、クリス自身も数年前に自殺したはずの妻ハリーの姿を目撃し、言い知れぬ衝撃を受ける。だがそれは、人間の意識を反映して具現化させるソラリス表面のプラズマ状の海の仕業だった・・・・・・。