「財団法人埼玉県芸術文化振興財団/ホリプロ『エレンディラ』」
出演:中川晃教、美波、瑳川哲朗、國村隼、品川徹、石井愃一、あがた森魚、山本道子、立石涼子、藤井びん、日野利彦、青山達三、戸井田稔、冨岡弘、新川將人、今村俊一、福田潔、堀文明、井面猛志、野辺富三、佐々木しんじゅ、田芳鴇紀、羽子田洋子、難波真奈美、太田馨子、今井あずさ、山崎ちか、川崎誠司、石田佳央、さじえりな、本山里夢、安齋芳明、明石伸一、Juggler Laby、しゅうちょう、松延耕資、大口俊輔、木村仁哉、舩坂綾乃

原作:ガブリエル・ガルシア・マルケス(「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」鼓直訳) 脚本:坂手洋二 演出:蜷川幸雄 作曲:マイケル・ナイマン(Michael Nyman) 美術:中越司 照明:原田保 衣裳:前田文子 音響:井上正弘 ヘアメイク:佐藤裕子 振付:広崎うらん 音楽助手:阿部海太郎 演出助手:井上尊晶/石丸さち子 舞台監督:小林清隆 主催:財団法人埼玉県芸術文化振興財団、ホリプロ、テレビ朝日、朝日新聞社 企画:ホリプロ 制作:財団法人埼玉県芸術文化振興財団、ホリプロ ¥7,000〜12,000(全席指定)

07年8月9日(木)〜9月2日(日)/彩の国さいたま芸術劇場/http://hpot.jp/erendira/
ガルシア・マルケスさんの小説「無垢なエレンディラと無情な祖母の信じがたい悲惨の物語」を、燐光群の坂手洋二さんが「エレンディラ」として戯曲化。演出を蜷川幸雄さんが手がけられ、音楽をマイケル・ナイマンさんが担当するという、前代未聞の豪華な顔ぶれが揃ったプロダクションです。
彩の国さいたま芸術劇場での公演終了後は、愛知と大阪での公演も控えています。平日13時開演の回に足を運びましたが、空席が多めだったのには少々驚きを覚えました。

何もなく広大に広がっている舞台、三方向を囲む薄く白い幕が風でなびき、深遠と続いていく闇に吸い込まれそうになりました。シンプル極まりない空間には、次々とセットが運ばれては消えていき、大胆な色使いの照明や映像が巧妙に使われます。マイケル・ナイマンさんの音楽は、力強い激しさのなかに冷静さがあり、永遠に繰り返されるかのような淡々と音を刻む旋律が印象的。
映画「ピアノ・レッスン」の楽曲を思い出しました。
上演時間は2回の休憩を含める、4時間にも及ぶ超大作に仕上がっています。ファンタジーや寓話のようなストーリーということで、次々と思わず驚く幻想的な描写の数々が登場し、そんな描写を具象的に舞台で表現する演出は圧巻の一言でした。
涙して、震えて、驚いて、何度も息を呑みました。確かに長時間に及ぶ上演時間に疲労を感じたことを始め、非効果的だと感じた平坦に思える場面も少なからずありました。それでも「素晴らしかった」という感想を強く持ったのは、それほどまでに価値のある体験だと思ったからです。
エレンディラやウリセスがロードムービーのように旅するのと同じく、観客である僕も劇場という空間で「エレンディラ」という作品を旅できました。畳み掛けるような仕掛けの連続、美しく心に深く残る言葉の数々、迫るように響く音楽、心動かされる役者さんの熱演、最後まで見所の宝庫というべき作品だったと思います。もしご興味ある方でご都合がつくのであれば、ぜひオススメしたいです。
≪STORY≫−−−−−WEB「エレンディラ」より
翼の生えた老人が語り始める、彼が生涯愛し続けて女性の思い出・・・。彼の名はウリセス(中川晃教)。そしてその女性とはエレンディラ(美波)。美少女エレンディラは、冷酷な祖母(瑳川哲朗)に召使のように酷使されていた。ある日、彼女の過失から祖母の家が全焼する。祖母はその“借り”を返させようと、エレンディラを娼婦に仕立てて一日に何人もの客をとらせる。彼女はたちまち砂漠中の評判となり、そのテントの前には男たちが長蛇の列をなす。ある日、彼女はウリセスと出会い、恋に落ちる。駆け落ちするも、祖母に追いつかれて遠く引き離される二人。恋するウリセスは不思議な力を身につけ、彼女を探し当てる。結ばれるために、二人は祖母を殺そうと企てるのだが・・・。祖母の運命と恋人たちのその後の物語をマルケスと思しき作家(國村 隼)が、語りついでいく・・・。