「シアターナインス10周年記念公演/株式会社パルコ『シェイクスピア・ソナタ』」
出演:松本幸四郎、高橋克実、緒川たまき、松本紀保、長谷川博己、豊原功補、岩松了、伊藤蘭

作・演出:岩松了 美術:磯沼陽子 照明:沢田祐二 衣裳:前岡直子 音響:藤田赤目 ヘアメイク:河村陽子 舞台監督:藤原秀明、藤崎遊 企画:寺川知男 企画:シアターナインス 制作協力:松竹株式会社 企画・製作:株式会社パルコ ※8月30(木)はプレビューオープニング

07年8月30日(木)〜9月26日(水)/パルコ劇場/http://www.parco-play.com/web/play/
歌舞伎役者の松本幸四郎さんが1997年からスタートさせた、現代演劇を創作する企画「シアターナインス」の10周年記念公演。今回は第4回公演『夏ホテル』に続き、作・演出を岩松了さんが手がけられます。豪華で多彩な役者さんの顔ぶれを初め、今期の話題作のひとつだと思います。
良くも悪くも引っかかる部分が少なからずありましたが、僕は最後まで面白く拝見することが出来ました。当日券は開演の1時間前から劇場にて販売スタート。開演の3時間前まではチケットぴあの各店舗、ファミリーマート、サークルK、 サンクスでも購入可能のようです。これは便利ですね。

シェイクスピアの四大悲劇を持って旅公演をしている沢村時充(松本幸四郎)の一座が、毎年恒例となっている私設野外劇場での公演を行う。控え室である酒屋の一室を舞台に繰り広げられる、休憩を含む約2時間45分のストレートプレイでした。
それぞれ魅力的な8人の役者さんに惹かれ、趣のある美術や照明も印象に残りました。スタッフワークについて言及すると、年季や味わい深さを感じる具象的に作り込まれた美術、雄弁に舞台を演出する照明効果は残像のように心に未だ留まっています。
何もかもが予想外で何度も驚きを胸に覚え、難解的で物語の輪郭が明確に分かるわけではないのですが、心には余韻と自分なりの解釈が残ります。哲学的だったり詩的だったり、日常と地続きのスタンスで語られる台詞が魅力的。そんな台詞の駆け引きを通じて、徐々に作品の全貌が浮かび上がる構成に唸ります。散りばめられるユーモアのさり気なさも印象的で、岩松了さんの作品が大好きな僕にとっては、この劇空間に身を置いていることが幸せに思えました。
1幕が素晴らしくて2幕も大いに期待したのですが、少なからず結末には違和感のようなものを感じました。予想外の出来事や感情が次々と耕作する舞台の説得力が、結末だけで極端に薄れてしまった気がするからです。特に気になったのは一座の俳優・美介(長谷川博己)の存在。掴みどころがない難役だと思いましたし、まだ長谷川さんの本領発揮にも至っていない気がしました。そんな美介が物語の要になるので、このような印象を持った要因のひとつなのかな、と思いました。