「流山児★事務所/観世栄夫「新劇」セレクション『流山児★ザ新劇≪オッペケペ≫』」
【出演】河原崎國太郎(劇団前進座)、町田マリー(毛皮族)、塩野谷正幸、さとうこうじ、保村大和、奈佐健臣(快飛行家スミス)、沖田乱、加地竜也、伊藤弘子、栗原茂、上田和弘、里美和彦、冨澤力 柏倉太郎、木暮拓矢、阪本篤、坂井香奈美、武田智弘、石井澄、諏訪創、熊谷清正、阿萬由美 【チケット(全席指定、学生など各種割引あり)】¥3,500〜¥5,000

【企画】観世榮夫 【作】福田善之(作者自身による2007年改訂版) 【演出】流山児祥 【音楽】本田実 【美術】水谷雄司(王様美術) 【照明】沖野隆一(RYU CONNECTION) 【音響】島猛(ステージオフィス) 【振付】北村真実 【殺陣】岡本隆 【映像】濱島将裕 【舞台監督】吉木均 【衣裳】大野典子 【演出助手】畝部七歩 【宣伝美術】アマノテンガイ 【制作】岡島哲也 青山恵理子 米山恭子 【協力】劇団前進座、藤プロダクション、大沢事務所、フレンドスリー、毛皮族 【Special thanks】荻原達子 【制作協力】ネルケプランニング 【主催】流山児★事務所

07年9月4日(日)〜17日(月)/ベニサン・ピット/http://www.ryuzanji.com/
1963年に福田善之さんが書き下ろされた戯曲「オッペケペ」を、福田さん自らが今年改訂されたものを携え、流山児祥さんが演出を手がけるプロダクションです。今回は観世榮夫「新劇」セレクションという名の通り、今年お亡くなりになった観世榮夫さんが企画された公演でもありました。
ベニサン・ピットという小空間での豪華キャストも魅力的。17日(月)までの2週間に及ぶ長期間の公演が現在行われていて、公演当日でも電話でチケット予約を受付して頂けました。

約2時間30分をノンストップで駆け抜けながら、まるで大河ドラマのように長い年月を追っていきます。激動の時代背景に翻弄されていく登場人物たち、大きな壁にぶち当たり挫折を経験し、開幕と閉幕では人物像が大きく変化しているのが本当に面白かったです。演劇と政治の関りについての描写、また、登場人物が演劇という表現を模索していく過程も魅力的。そこに男女の愛憎劇も絡んでいきますし、劇中劇などの多重構造を設えた構成も巧妙で、非常に濃厚な作品に仕上がっていました。
劇場に入場する瞬間から仕掛けがあり、「オッペケペ」の世界に一歩近づいた気がしました。ベニサン・ピットの高い天井をしっかり埋めている舞台美術は、花道も設えてあるため舞台と客席の距離がとても近かったのが印象的。非常に贅沢な空間だと思います。軽快なテンポを刻む場面転換は効果的で、舞台に映像が重なる乱闘場面では鳥肌が立ちました。また、キャスト全員で「オッペケ節」を歌い踊り飛ばしてしまうのが痛快極まりなくて、燃え滾る情熱的な眼差しと冷やかに物事を見つめる冷静な眼差しが混在していて、この作品をより深いものに仕上げていると思いました。
一座の演目が「壮士劇」から「戦争高揚劇」に相違していくプロセスは、非常に胸に迫ってくるものがあるというか、この作品の真髄のような気がしました。作品全体としてはエンターテイメント趣向でありながらも、今この作品を上演する強い主張を感じ、終演後には強い感動を覚えました。
確かに2時間30分という長丁場は辛かったのですが、猥雑でエネルギッシュなエネルギーに満ちた世界が作品の面白さに直結していて、最後まで興味深く拝見できました。ですが、もっと上を目指せるんじゃないか、とも思いました。役者さんの演技に若干バラつきを感じたというか、特に若い役者さんとベテランとの差のようなものを感じました。でも、グルーブ感は素晴らしかったです。
自由、民権といった志で始まった「壮士劇」が、権力にとりまかれ「戦争高揚劇」へと至る流れを、様々な役者や政治家の思惑、男女の恋模様も交えて描く歴史群像劇。「壮士劇を上演する劇団の舞台稽古」という多重劇(メタ・シアター)構造で福田善之が「自由とは何か」を問う戦後演劇の代表作。原戯曲では「演出家」が登場するという構造を、2007年版は「作家」が登場して『オッペケペ』の世界を語るという改訂版上演となる。−−−−−WEB「流山児★事務所」より