「オペラシアターこんにゃく座『Opera club Macbeth』」
出演:川鍋節雄、大石哲史、梅村博美、相原智枝、岡原真弓、井村タカオ、酒井聡澄、佐藤敏之、富山直人、高野うるお、石窪朋、佐藤久司、鈴木裕加、豊島理恵、島田大翼、中島正貴、宮瀬晃、フルート:姫田大、パーカッション:高良久美子、ピアノ:大坪夕美、¥2,000〜¥6,000

原作:シェイクスピア、作曲:林光、脚本・演出:高瀬久男、美術:松井るみ、衣裳:原まさみ、照明:金英秀、振付:新海絵理子、ファイティング:渥美博、舞台監督:久寿田義晴、音楽監督:萩京子

07年9月7日(金)〜16日(日)/三軒茶屋・シアタートラム/http://konnyakuza.com
日本語のオリジナルオペラを創作している老舗のカンパニー、「オペラシアターこんにゃく座」による新作本公演に足を運びました。シェイクスピアの四大悲劇のひとつである「マクベス」を、高瀬久男さんが大胆に台本と演出を手がけられ、座付き作曲家の林光さんが音楽を担当されます。
前売券が完売している回が多かったため、なんとか最後列のトラムシート(半立見席)を確保し、劇場に伺いました。上演時間は15分間の休憩を含む2時間30分弱。上演は先日16日で終了。

中年男性が謎のクラブ「club Macbeth」に迷い込み、クラブの中で行われている「マクベス」の劇世界に翻弄され、やがてマクベスに自分を投影させていく。奇想天外でかなり大胆な解釈を試みた作品になっていたのですが、このような演出効果だからこそ浮かび上がるマクベスの真髄に触れ、こんにゃく座がまた新たな一歩を踏み出した記念的な作品だと思いました。
現代とマクベスの劇世界を交錯させる構成を踏まえたことで、多くの発見や効果があったと思います。誠実な男が悪の道へと歩んでいくプロセス、マクベス婦人とマクベスの構図が更に際立った構成で、非常に面白く新たな発見がありました。
シアタートラムの前方座席には舞台美術と同化するように、いくつものテーブル席が設置されている空間構成が施され、まるで劇場自体が「club Macbeth」と化しているような雰囲気でした。大胆に可動するセットは勢いとダイナミックさがあり、若干鏡面仕上げの壁も刺激剤のひとつです。
「マクベス」のオペラ化だとヴェルディによる作曲作品を、新国立劇場で野田秀樹さん演出で拝見しました。重厚的で感情に訴えかけるように迫る力強い旋律が印象的でしたが、今回は軽快でユーモアとオリジナリティが豊富に盛り込まれた、林さん独特のサウンドに仕上がっていました。
難解に感じる楽曲の数々を巧妙に体現する座員の方々に感動しつつ、僕にとっては耳に残る旋律がいつもに比べて少ない気がしてしまったこと、林さん独特の旋律のなかでのバリエーションの豊かさや飛躍を更に感じたかった、と思いました。フルート、パーカッション、ピアノによる生演奏、若い役者さんの歌唱力と演技力の向上を確かに発見できたのは、非常に嬉しかったです。
酒場“クラブ・マクベス”で上演されているシェイクスピアの世界に引き込まれる男は、いつしか物語の主人公マクベスにとってかわり、マクベスの人生を歩み始める、そして・・・。
魔女たちによって「王になる」と暗示された将軍マクベスは、野心の虜となるが、時にひるむマクベスにたいし、妻のマクベス夫人は情け容赦なく彼をそそのかし、王座への道を突き進ませる。マクベスは王ダンカンの暗殺を皮切りにつぎつぎと悪事を重ね、友人をも殺害する。だが、心の平静は失われ、マクベス夫人も幻覚の虜となる。そして、破滅への連鎖を続けるマクベスは苛烈な闘いへと突き進む。
−−−−−WEB「CoRich舞台芸術!」より