出演:安奈淳、瀬戸口剛、島村勝、TROY、井上裕朗、青山吉良、有希九美、松岡美希、新井祐美、武田優子、石橋祐、小寺悠介、三貴将史、清水隆伍、大和屋ソセキ ピアノ:阿部篤志

作◎パム・ジェムス 訳◎常田景子 演出◎亘理裕子 音楽監督◎後藤浩明 美術◎中根聡子 照明◎笠原俊幸 音響◎内藤博司・岩楯岳志 衣裳◎萩野緑 ヘア&メイクアップ◎鎌田直樹 ステージング◎中村音子 アドバイザー◎菅原道則 舞台監督◎森聡 ¥3,000〜6,000円

07年9月24日(月・祝)〜10月8日(月・祝)/ベニサン・ピット/http://www.tpt.co.jp/
tpt(シアタープロジェクト・東京)による最新プロダクションは、安奈淳さんがフランスのシャンソン歌手エディット・ピアフを演じる「PIAF」。パム・ジェムスの作品を常田景子さんが翻訳、亘理裕子さんが演出を手がけられています。上演時間は休憩込みの2時間40分弱という長丁場。

エディット・ピアフの壮絶な半生を2時間40分弱で疾走する、1人の人物を長期にわたって追う大河ドラマのような大作です。彼女の名前や残した歌は知っていても、いったいどんな人生を歩んだ人だったのか、自分はこの作品に触れるまで知りませんでした。映画が公開されていたり、更に関心を持ちました。
今作の大きな見所は安奈淳さんがピアフを演じ、名曲の数々を実際に歌われることだったように思います。シャンソンには歌ひとつひとつにドラマがあるんですね。言葉と音楽が雄弁に語りかけてくるようで、ベニサン・ピットという小空間でこの体験が出来るのは非常に贅沢でした。素晴らしかったです。
常にそばには恋人がいるピアフの魅惑的な女性像が描かれますが、なぜここまで男性に好かれるのか終盤になるまでとても疑問でした。ぼくは絶対に好きにならないと思うし、むしろ嫌いに感じてしまう女性像だったので。でも、なぜ彼女に男性が惹かれるのか、彼女が身体的にも弱りをみせた終幕からようやく分かった気がします。終幕からは落ち着いた重厚な対話が展開し、ドラマの広がりに大きく魅せられたからではないかな、と。特に前半はロードムービー的に状況を説明的にしっかり提示するけれど、結果的にピアフという人物の描写に飛躍や深みが生まれなかったような。
役者さんの演技についてはまだ発展の段階に思えたというか、クオリティが高いとは思えない残念な仕上がりだった気がします。最近のtptの作品には若いキャストやスタッフがたくさん抜擢されていて、新しい才能にめぐりあえることを期待をしています。めぐり「あえる」時もあれば、めぐり「あえない」時も。今回のプロダクションに関して言及すると後者だったのかな、と思います。
落ち着いた色彩に統一された舞台美術と照明がとても印象的で、華やかさも渋さも一緒に混在したシックな空間が作られていました。ベニサン・ピット特有の奥行きの使い方や、真っ赤なカーテンを使用した場面転換も効果的。軽快かつ重厚に舞台を演出するピアノの生演奏も嬉しい。