「新国立劇場『アルゴス坂の白い家−クリュタイメストラ−』」
出演:佐久間良子、小島聖、李丹、山田里奈、篠崎はるく、磯部勉、有薗芳記、山中崇、松本博之、中村彰男、石田圭祐、小林勝也 「三つの悲劇」ギリシャからVOL.1

作:川村 毅 演出:鵜山 仁 美術:島 次郎 照明:服部 基 音楽:久米大作 音響:上田好生 衣裳:原まさみ ヘアメイク:宮内宏明 演出助手:上村聡史 舞台監督:北条 孝 総合舞台監督:矢野森一 芸術監督:鵜山 仁 主催:新国立劇場 ¥1,500〜¥7,350

07年9月20日(木)〜10月7日(日)/新国立劇場/http://www.nntt.jac.go.jp/
鵜山仁さんが新国立劇場の演劇芸術監督に就任されてから最初のプロダクションであり、同劇場による「2007/2008シーズン」演劇公演のトップバッターを飾る作品です。
今回はギリシャ悲劇に題材にした『三つの悲劇』という三部作の第一弾。川村毅さんが脚本を、芸術監督の鵜山さんが演出を手がけられます。上演時間は休憩を含める2時間40分弱。

重層的で難解ですが、とても面白い脚本でした。古典戯曲を現代に置き換えたりする作品は今までにも触れた事がありますが、この作品は一味も二味も違う仕上がりで、良い意味で期待を裏切ってくれました。刺激的だし挑発的です。既に第1幕のオープニングから軽やかにぶっ飛んでいて非常に痛快。
とても面白いと思いつつも少なからず戸惑いをもち、作品を掴みきれないもどかしさを感じていた1幕。しかし2幕に至ってからは、「高貴な悲劇を完成できない家族」の物語にシフトしてからが凄まじい。ここでようやく今作が秀作だということを痛感した気がします。でも、ラストは少し疑問を持ちましたが。
舞台美術は非常にシンプルなスタイルだったものの、劇場の設備を存分に使ったダイナミックな転換が渋く華を添えます。通常の客席を10列目まで潰し大きく張り出した舞台、そして深く深く続いていく奥行きは壮観。役者さんのトリッキーで個性的な演技も効果的で面白いです。それぞれの役をしっかり演じながらも、皆さん立ち姿が堂々としていてカッコ良かった。
本作が新芸術監督の所信表明というべき作品であることが、とても嬉しく思いました。新国立劇場にまた新たな歴史が刻まれたプロダクションではないかな、と。これから上演される
「たとえば野に咲く花のように」「異人の唄」にも強い期待を持ち、充実した余韻を胸に劇場を後にしました。
WEB「新国立劇場」より『ものがたり』
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夫アガメムノンへの憎悪を抱く妻クリュタイメストラは愛人のアイギストスと計って、夫を殺害するが、息子のオレステスと娘エレクトラに復讐の機会を狙われる・・・。『アルゴス坂の白い家』は、この「ギリシャ悲劇」を題材にした現代演劇を上演しようとしている現代日本人の物語。「女優」「映画監督」「シナリオライター」「新進作家」が家族として住む「アルゴス坂の白い家」におこる悲劇を軸に、原作の作家であるエウリピデスを劇中に登場させ、現代の劇作家の悩みにこたえるシーンも盛り込みながら「ギリシャ悲劇」の構造を分かり易く立体化。実の子供たちに命を狙われる母クリュタイメストラの行きつく先は?