「青年団リンク・東京デスロック『演劇LOVE−愛の三本立て−』」
「社会」出演:夏目慎也、佐山和泉、多田淳之介、海津忠、永井若葉(ハイバイ)、ギリコツカサ 「3人いる!」出演:夏目慎也、佐山和泉、岩井秀人(ハイバイ) 「LOVE」:夏目慎也、佐山和泉、石橋亜希子、高橋智子、坂本絢、宮嶋美子(風琴工房)、白神ももこ(モモンガ・コンプレックス)

演出・脚本:多田淳之介 宣伝美術:宇野モンド 制作:東京死錠、リトルモア地下 総合プロデューサー:平田オリザ 主催:青年団、(有)アゴラ企画、リトルモア地下 ¥2,000〜¥2,500

07年9月30日(日)〜10月10日(水)/リトルモア地下/http://deathlock.specters.net/
多田淳之介さんが作・演出を手がけられる「青年団リンク・東京デスロック」による、新旧3作品を同時期に連続上演するという企画『演劇LOVE〜愛の三本立て〜』。それぞれ上演時間は1時間弱になっていて、会場は原宿駅から程近いリトルモア地下というギャラリーです。休日の原宿は人の多さに死にそうだったのですが、駅から近いにも拘らず閑静な場所に佇む素敵な空間でした。

1日通しで3作品を拝見しました。14時から2005年の「社会」、17時から2006年の「3人いる!」、そして20時から2007年の新作である「LOVE」というふうに時系列に沿いながら。各作品終演後には作品解説がありました。東京デスロックの遍歴に触れながら、改めて演劇の可能性や面白さを知った気が。
また、原宿のリトルモア地下で公演を行っているのもすごく嬉しかった。演劇LOVEな人もそうでない人も、少なからず演劇というものに惹かれたり、興味を持つプロダクションじゃないのかな、と。個人的には3作品の中で「LOVE」が一番好きでした。
1本目の『社会』は、いわゆる現代口語演劇という形式。ある会社で渦巻く歪んだ人間模様を描写しながら1時間弱で人間関係の縮図が浮かび上がっていきます。役者さんの演技を間近で楽しめるのが嬉しくて、例えば台詞を発さない無言の時間も楽しめました。
2本目の『3人いる!』は、多数の登場人物を3人で演じるというもの。スタイルとしては「社会」同様に現代口語演劇かも知れませんが、描写している世界は現実とは離れた寓話のような印象で、3人の俳優のみで演じる役柄を次々と変えていく手法は新鮮でとても刺激的。
3本目の『LOVE』は、女性によるシンプルな無言のコミュニケーションを中心に描く作品。無言の交流を経て仲良く分かり合えたと思っていた矢先、突如として集団に乱れが生じて殴り合いを始める女性たち。そこに現れる1人の男性に、女性たちは次々と暴力的な質問を投げかける。
演劇の最大の魅力である「目の前に俳優が居る事」にこだわり、演劇の可能性を表出させていく東京デスロックのunlockシリーズ。第3弾となる今回は『演劇LOVE』と銘打って、東京デスロックの軌跡を辿ると同時に現代演劇の軌跡も辿れるお得な3作品を、演劇への愛と共にお届けします。作品は、日常会話レベルでずさんなコミュニケーションで作られる、正に「現代口語演劇」の『社会』。萩尾望都作のマンガ「11人いる!」にインスパイアされた作品であり、既成の演劇構造を見つめ直す、演劇を見直す演劇『3人いる!』。そして俳優が目の前に居る事にとことんこだわる愛の新作『LOVE』の3作品。どれも演劇の面白さを伝える作品ばかりです。普段演劇をあまり観ない方々もこの機会にぜひ演劇に触れていただけると幸いです。