「アートン/まつもと市民芸術館『ティンゲル・グリム−眠れぬ森のおどけ奇譚−』」
出演:串田和美、高泉淳子、市川実和子、あさひ7オユキ、稲葉良子、三松明人、池田六之助、大熊ワタル、関根真理、近藤隼、佐藤卓、細川貴司 ¥6,000〜¥6,500(各種割引あり)

原作:ヤーコップ・グリム、ヴィルヘルム・グリム 演出・構成:串田和美 美術・衣装:宇野亜喜良 音楽監督:朝比奈尚行(時々自動) プレイライト:高泉淳子 照明 :斉藤茂男 音響:市来邦比古 舞台監督 :村松明彦 大道具:エンドレスファクトリー 宣伝美術:宇野亜喜良 デザイン:福田真一 写真:明緒 制作 :秋元けい子 松野創 プロデューサー :郭充良、蔭山陽太、村松明彦 提携:にしすがも創造舎 主催:株式会社アートン、まつもと市民芸術館

07年10月4日(木)〜14日(日)/にしすがも創造舎/http://www.artone.co.jp/grimm/
映画製作でも有名な出版社「アートン」と「まつもと市民芸術館」が、共同でプロデュースを手がける『ティンゲル・グリム』に足を運びました。東京のにしすがも創造舎で公演後、長野のまつもと市民芸術館でも公演が行われます。「グリム童話」をモチーフに串田和美さんが構成・演出、宇野亜喜良さんが美術や衣装を手がけられる、豪華なキャストが実現したプロダクションでした。

舞台空間がとても素晴らしくて、劇場に足を踏み入れた瞬間から魅せられました。会場は体育館の面影を今も残す、というよりも、体育館をそのまま使用している「にしすがも創造舎」。今回の公演では体育館のなかに仮設のテント劇場が特設され、舞台美術というよりも劇場をまるごとオリジナルで作り上げています。白に統一された抽象空間は幻想的かつ独創的で、ビビットな色彩やオブジェがとてもカッコいい。
だから開幕前の期待は非常高かったのですが、上演が進行するに従って、いったい何をやろうとしているプロダクションなのだろう、と少なからず疑問に思えてきました。個性的で面白いアイディアの数々を役者さんが体現していき、明確なビジョンがないまま迷走している気がします。各界のパフォーマーや芸術家が集っての“お祭り”を目指していたのかもしれませんが、それだけでは個人的に不満足かな、と思いました。非常に勿体無いプロダクションだった気が強くします。
グリム童話をさまざまな角度から構築していく構成ですが、まだアイディアを具体化した時点でストップしていて、表現方法や物語の飛躍や深みは更に広がると思います。例えば女性3人が食事の仕度をしながらラプンツェルの話をしたり、高泉さんによる長い独白があったり、面白くて興奮を覚える場面がたくさん。でも、それぞれが突出しているだけで、調和がされていないと思います。
テント特設劇場だからこそ実現できる演出効果、不可思議で耳に残るサウンド、大胆な照明の色使いが渋くて素敵。また、役者さんでは高泉淳子さんの演技に心揺さぶられるものがありました。コミカルな演技も的を得ていて、長い長い独白も深く劇場に浸透していくようで素晴らしかった。
WEB「「CoRich舞台芸術!」より
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「グリム童話集」は、1812年、ドイツにて初版発行。その後版を重ね1857年第7版まで。
日本には1887年(明治20年)から入ってきました。はじめは、子どもの読み物として扱われましたが、口承文芸の奥行きに大人たちも共鳴し、さまざまな研究がなされています。民俗学的、文芸学的、イデオロギー的、心理学的と。そんな「グリム童話」の魔法昔話、笑話、伝説や聖者伝など200篇からピックアップして物語を紡いでいきます。
主催は、宇野亜喜良の絵本出版や、映画製作、舞台製作にも力を入れている出版社アートンとまつもと市民芸術劇館が共同で手がけます。
公演場所も敢えて自由に空間を活かせる所を選びました。西巣鴨(都営三田線)駅前の廃校となった中学校体育館、校庭からのアプローチ、教室からは懐かしい歌声が聞こえてくるようです‥枠組みを超えた舞台創りは既に始まっています。