家を描く水彩画家に囲まれて私は家になってゆきます
滝までの獣の道を走り抜けあの子は歌手になるのでしょうね
しまうまが右の涙腺通過して青信号に眠ってしまう
集めてはしかたないねとつぶやいて燃やす林間学校だより
とてもよくしてくれたミシンかかえてもう少しあなたを待ってみる
この森で軍手を売って暮らしたい まちがえて図書館を建てたい
心地よいほうのからだを上下させ夜の肩甲骨の彫刻
水田を歩む クリアファイルから散った真冬の譜面を追って
レシートの端っこかじる音だけでオーケストラを作る計画
横たわるワイングラスにあんこうの頭がひかる古いお話
「深いから その、深いからこちら側へ来てください つきのわぐま」
数分後関東平野の薔薇を持ちあなたは遠くとおくへ帰る
それは世界中のデッキチェアがたたまれてしまうほどのあかるさでした
鞄からこぼれては咲いてゆくものに枯れないおまじないを今日も

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