もう10年も昔のことオイラが市立病院に入院していたとき・・・隣のベットにおじいさんが入院してきた。
札所巡礼にやって来て体調を崩し救急車で運ばれてきたらしい。
おじいさんは福島県桧枝岐村(ヒノエマタムラ)の住人・・・
村の一番奥に家があることや雪がとてつもなく降ることなど方言交じりで話してくれた。
翌年・・・元気になったと年賀状が届いた。

寄り添う花たち
おじいさんの話から桧枝岐村は・・・わらぶき屋根の農家が並び・・・道路は狭く・・人通りはほとんどない・・・買い者は隣の町までバスで出かけ・・雪解けまでは家から出られない・・・そんな秘境の村だと思いこんでいた。
聞くと見るのとでは大違い。
広い道路・・・行き交う車・・・温泉つきの旅館・・・自然を利用した観光釣り場・・・立派な役場の建物・・・
想像していた桧枝岐村とは全然違う。
オイラはあっけにとられた。

ルビーの指輪
駒ノ小屋で大いに飲んで知り合いになったSさん。
Sさんは地元福島にある新聞社の幹部・・・「福島のことなら任せとけ・・・」というわけで桧枝岐村の「裁ちそば」が美味しいとの情報をゲット・・・

ひっそりと・・・
下山後・・・早速クロちゃんと立ち寄った「裁ちそば」の看板がある蕎麦屋。
「裁ちそばってどんな蕎麦かな〜・・・」とオイラ。
「黒い蕎麦だと聞きましたからそばの殻がいっぱい入っているんじゃないですか」とクロちゃん。
「いや〜裁ち蕎麦というからハサミか何かで切って食べる蕎麦かも・・・」などと想像を膨らませるオイラ。
待つことしばし・・・出てきた蕎麦を見て「え〜普通の蕎麦じゃない」二人で笑う。

裁ちそば
メニューを見て「はっとう」という文字が眼に入った。
「はっとう」って何???・・・
「はっとうお願いします」。
見た目はコンニャクに胡麻がまぶしてあるという感じ・・・
案内を読むと・・・そば粉ともち米をこねたそば餅・・・じゅうねん(エゴマ)をからめてあると書いてある。
一口食べると・・・ちょっと甘い。
う〜ん・・・これが桧枝岐村の名物か・・・

はっとう
あのおじいちゃんも「はっとう」を作って食べているんだろうか・・・
まだ健在なのだろうか・・・もう90歳はこえているはず・・・
住所をメモしてくればよかった。
ふっとやせたおじいちゃんの顔がうかんできた。