2009年10月20日、ロシア・サハリン州アレクサンドロフスクで
「小熊秀雄講演会」
が行われた。講師は当地の郷土史家スメカーロフ・グリゴーリーさん、相手はサハリン州北方地域の図書館員とのことである。
7月にアレクサンドロフスクを訪ねた私は、お世話になったグリゴーリーさんとメールで3ヶ月間余り交信を続けている。話題の中心一つが詩人小熊秀雄のことだった。
彼には、会ったときに既に
「小熊秀雄と池袋モンパルナス」(東京-玉井五一氏編)
「星の光りのように-小熊秀雄詩撰」旭川版
などを渡していたが、すべては日本語だった。彼は、10月になってから
「ロシア語版-小熊秀雄詩集」(アナトーリー・マーモノフ訳)
を手に入れて読み、深く小熊の詩を理解してくれたのだった。
ロシア語訳の小熊の詩を読んでからのグリゴーリーさんの行動は素早い。その後、すぐに、アレクサンドロフスクの図書館での
「小熊秀雄展」
を企画・実行し、さらに今回の図書館員向けの「講演会」を実施した。
小熊秀雄は、日本の詩人のなかでもロシア文学に最も影響を受けて詩を書いた詩人と言えるだろう。小熊の詩におけるプーシキン、エセーニン、マヤコフスキーの影響は大きい。その詩人が、今、少しづつ、ロシアで読まれる出発地点に立とうとしている。
このお話を、サハリンへ同行した東京在住のロシア文学者中本信幸氏に伝えると
「快挙」
という言葉をいただいた。
東京の「小熊秀雄協会」は、先週24日に,30年近く続いている「長長忌」を開いた。
旭川では現在、小熊秀雄賞市民実行委員会主催の「しゃべり捲くれ」講座が開かれている。
詩人小熊秀雄をめぐる人々の動きは、サハリン、旭川、東京を結び、静かな動きを見せている。

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