新潟は日本酒王国といわれ、確かに美味しいお酒が数多くあります。当店もいつの間にか、新潟県産酒がほとんどになってしまっています。そのこと自体は、新潟県の酒屋としてしごく当たり前の成り行きであまり気にしていないのですが、それこそ井の中の蛙状態と言われればそうともいえる状態です。なるべく他県の酒も、売るまではいきませんが、とりあえず機会があれば飲もうと思っています。
先日、気になっている他県の蔵元のお酒を取り寄せて、酒屋仲間&友人数名で利き酒をしました。
お酒は、3蔵&地元の蔵元のものひとつ。全て純米酒系(純米酒、純米吟醸、純米大吟醸)。銘柄は‥
・埼玉県 神亀酒造「ひこ孫・純米吟醸」
・山口県 旭酒造「獺祭(だっさい) 純米大吟醸 遠心分離50」
・山口県 旭酒造「獺祭(だっさい) 温め酒 純米大吟醸50」
・石川県 松浦酒造「獅子の里 純米吟醸酒 旬」
・それに写真には出ていませんが、わが三条市の福顔酒造「只今さんじょう 純米生原酒」。
傾向としては、山口県の旭酒造「獺祭」を除いて、酸の強い酒ばかりでした。福顔の純米生原酒も含めて。純米だからやはり酸味が強くなる傾向があるのですが、新潟県のお酒は純米酒でもそれほど酸は強くありません。私自身はあまり酸の強い酒は好きではないのですが‥。
今後の日本酒の傾向は、純米酒中心になることは予想されることですが、酸のバランスをどのようにするかが、ひとつのカギと思えました。
それぞれの利き酒の感想は以下になります。
・埼玉県 神亀酒造「ひこ孫・純米吟醸」
早くから純米酒のみしか造らないことで有名な蔵元で、最低2年熟成させてから出荷するということです。私自身、その酒造りの姿勢、熟成をひとつの味の売りにしている点など、今後の日本酒の未来を見据えた先進的な蔵元だと思っておりました。今回の目玉のお酒でした。
瓶詰め日付が「5年4月」でした(このお酒はマイナス10度で最低三年寝かすのだそうです)。4年熟成酒ですが、まったくひねかもなく、口当たりのやわらかなお酒でした。純米吟醸ながら、香りもとても奥ゆかしいく鼻につかない。ちょっとお燗して飲んでみたい酒でした。ただ、酸は強く、1.8前後あるのではと思いました。この辺が好き嫌いがあるかもしれません。
・山口県 旭酒造「獺祭(だっさい) 純米大吟醸 遠心分離50」
・山口県 旭酒造「獺祭(だっさい) 温め酒 純米大吟醸50」
山口県に全て純米吟醸以上の酒を造っている蔵元があると聞いて飲んでみたいと思いました。飲んだのはどちらも50%精米の純米大吟醸です。それで値段もリーズナブルなのが驚きでした。720mlで1500円前後です。
「純米大吟醸 遠心分離50」は、一番新潟の酒に近いものでした。酸それほどなく、口に含むときれいな吟醸香が鼻から抜けて行きます。味も仄かな甘みを感じさせて優しい味わいでした。
「温め酒 純米大吟醸50」は、これもユニークなお酒です。アルコール度数を14度としてお燗のできる純米大吟醸なのです。お燗することにより(ぬる燗ですが)、ほどよく吟醸香が飛び、味わいは、仄かな酸と甘みがバランスよく美味しいお酒でした。純米大吟醸をお燗ができる。それだけでも面白い!と思いましたが、味も当然ながらうまくまとめています。新潟でもこんな酒が出るといいと思いました。
・石川県 松浦酒造「獅子の里 純米吟醸酒 旬」
このお酒は、前も書きましたが、淡麗で、酸が強い。仄かな吟醸香のお酒です。和食に本当に合うと思います。ただ私は、これほど酸が強くて淡麗だと、旨みに欠けるように思えました。でも一緒に飲んだ仲間で、これが一番美味しいと言っていた友人もいました。酸が強いけれど、口のなかをきれいにしてくれる感じがあって、食中酒としては素晴しいと。なるほどと思いました。
・三条市の福顔酒造「只今さんじょう 純米生原酒」。
これが、私はちょっと驚きました。福顔酒造さんにしては酸が強いのです。福顔さんはどちらかというと酸を抑える杜氏さんでした。今回のお酒は、山田錦100%の純米生原酒です。精米歩合は、60%。仄かな吟醸香があり、酸も強いですが、しっかりした味わい。アルコール度数(19度)のわりには、口当たりも柔らかです。美味しいお酒に仕上がっていました。(「只今さんじょう」は仕込みのある冬場のシリーズ企画で、出来上がった酒を順次しぼりたて生酒で出す企画です。それも500mlで1300円で統一されています。普通酒のしぼりたてもあれば、大吟醸のしぼりたてもあります。それでもどちらも1300円というわけです。)このお酒は、今回初めての試みとして造ったお酒とのことです。このお酒がひとつ福顔さんの酒造りの方向性になればと思います。
※注・最後の福顔の「只今さんじょう」は当店で販売していますが、それ以外のお酒は、利き酒のために私が個人的に購入したもので、当店では販売しておりません。

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