rainの恋愛短編集です。
いろいろな恋の病を集めてみました・・・
2008/6/12
施設が落ち着きやっとパソコンができる感じになりました・・・ほっ(^^;)
仕事が忙しく、パークのみなさんへのお返事ができないままでした。
これからもこんな感じで、期待をさせたまま放置が続くのはどうかと悩みました。
悲しいけどパークを辞めました・・・
パーク、とても楽しかったです!みなさん、お元気で!!
2008/5/23
深夜を車が走る。
でも、もう怖くないよ。
不思議な少女があなたを連れてきてくれたから。
彩花のアパートに着いた。
助手席を見ると、ありすはすやすや眠っている。
「このまま、ありすを連れて行くよ」
外に出ると遼が言った。
「ありがとう。本当に遼が来てくれてよかった」
いつもの何倍も遼が頼もしく見えた。上目づかいで見上げると遼の顔が近づいてきた。唇が重なる。離れると吐息が漏れた。
「無理はするなよ。彩花はすぐひとりで何でもしようとするから」
「うん、わかった」
「仕事探しも焦るなよ」
遼には、何もかも見透かされている。こくりと彩花は頷いた。
「ありがとう。お母さんによろしく」
車の中でありすは二人を見ていた。遼が車に戻ってくると目を閉じた。
彩花は、車が遠くに消えるまで見送った。
(続く)
2008/5/22
「見たことないんだよね。友達の子供じゃないと思う。同級生かな」
「とにかく、このままにしておけないな。とりあえず一晩預かって、明日警察に届けよう。彩花は一人暮らしだろう、明日も仕事だし」
「そ、それがさ・・・」
ファミレスを出て、遼の車に乗った。
「僕の家で預かろうか?母さん家にいるし、子供好きだから」
「本当、助かる。ありがと、遼!」
ありすはすっかり遼になついて離れない。助手席はありすだ。
ちょっと!私だって不安なんだから・・・
彩花はヤキモチを焼いてじっとありすを見る。
「彩花、今日は元気がないな」
ありすが眠ってしまうと、遼が聞いてきた。
「うん。実はさ、今日会社が倒産したんだ」
彩花は会社の話をした。
「そうか・・・これからどうするんだ?」
もうすぐ彩花のアパートに着く。
「どうしよう。とりあえず、明日から仕事探しかな?」
「そうだな、いい仕事が見つかるといいな・・・急にありすを連れて行って、母さん驚くかな。僕たちの子供だと思って」
くすっと笑って、遼が言った。
「そうだね。お母さんを驚かしちゃうかも」
優しくてそそっかしい遼の母、豊子を思い出して彩花はくくっと笑った。
(続く)
2008/5/22
遼はにこっと笑いながら
「初めまして、僕、遼って言います。ありすちゃん、道に迷ったのかな?」
「お兄ちゃん、道に迷ったんじゃないよ。お母さんがつれてきたの」
「そうなの?お母さんはどうしたのかな?」
「それが・・・戻ってこないの」
破裂したようにわっと少女が泣き出した。
遼が抱き寄せると、胸にすがってわんわんと泣き続けた。
「ひどい親だよ。こんな子を置き去りにするなんて」
ありすの背を優しく撫でながら、遼が彩花に言った。
「そうだよ。その親ったら、私は知り合いだから待ってなさいって言ったらしいの」
「この子を知ってる?」
(続く)
2008/5/17
漆黒の闇が静かに空を満たしている。
ぽかんと月が頼りなげに浮かんでいる。
ファミレスだけが灯台のように暖かく照らしている。
ファミレスが開いていてよかった。
小泉彩花は、クリームコロッケを頬張りながら思う。
今日会社が倒産した。3年間勤めていたコロッケ製造会社「はまちゃんコロッケ」だ。
同僚と居酒屋で悪口を言って盛りあがっただけに、一人暮らしのアパートに帰りたくなかった。暗い夜道をあてもなく歩いていると、ファミレスの暖かい照明が見えた。
明るい店内に何人かの客がいる、それだけで一人の寂しさがまぎれる。
俵型でほくほくしたジャガイモと牛肉がたっぷり入った「はまちゃんコロッケ」を彩花は愛していた。
最近、コロッケの味が落ちたのが気になり課長にそれとなく言った。
しかし「私も食べてみたが、このくらいなら大丈夫だろう」と取り合ってくれなかった。結局、売り上げは急激に落ちていった。あの課長は味オンチなんだ。
かじるとさくっとした衣からクリームが口じゅうにとろける。
これからどうしよう。世の中という暗い海に投げ込まれた気がした。
親に頼ろうか。しかし、父を奪ったあの女のいるところにはもう戻りたくない。
彼の声が聞きたかった。携帯を取り出し電話しようとしたが実家だったのを思い出した。夜中に電話をかけて気を使わせたくない。メールを送ると、10分ぐらいで来ると返信が来た。
ふぅとため息をついて横を向くと、隣に女の子が座っていた。
茶色い長い髪の後ろに大きな赤いリボンを付け、ふくらんだ半袖にシフォン地の赤のワンピース。大きな茶色い瞳に長いまつげ。まるで人形のようにかわいい少女だ。
少女がここにいるのが不思議だった。ずっとここにいる彩花には少女が誰かに連れられてきたり、店から歩いてきた気配が感じられなかったからだ。
「こんな時間に一人でどうしたの?」
彩花が顔を傾けて聞くと、
「お姉ちゃんを待っていたんだよ」
ちょこんとイスに座って、にっこりと少女が笑った。
お姉ちゃんを待ってたって?この子と会うのは初めてだ。
「会うの初めてだよね?」彩花が聞くと
「うん。でも、隣のお姉さんは知り合いだから、ここに行って待っていなさいって」
「誰が?」
「パートナー。ううん、お母さんが」
「お母さんはどうしたの?」
「いなくなっちゃった」
母親が置き去りにしていったんだろうか?子供をアパートに放って置いて餓死させた事件を最近ニュースで見たことがある。世の中にそんな親が増えているなら、邪魔になった子供を人に押しつけていっても不思議じゃない。
でも、それなら怯えて泣いたりして、こんなにおとなしくしている訳はない。変だ。
何か得体の知れないものを感じて黙っていた。
「私、ありすって言うの。お姉ちゃんは?」
少女が言った。
「私は彩花」
とりあえず名前だけ言った。
「彩花お姉ちゃん、私、一人でさびしい。お家つれてって」
「お家って、ありすちゃんのお家?」
「ううん、お姉ちゃんのお家。お家には帰りたくない」
悲しそうにうつむくありすの目に涙が光った。
よっぽどひどい扱いを受けているんだろうか。こんな少女が帰りたくないなんて。
さっきの得体の知れないものが同情に変わった。
その時、
「待たせてごめんね」
遼が入ってきた。間島遼、私の彼だ。
「あれ、この子は?」
「ありすちゃんって言うの」
(続く)