城崎の二次創作ブログ(R15) 現在の傾向はぶりーち。いちうり時々白崎。BL、同性のCP描写があります。
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2012/1/22  23:53

寒がりな君  いちうりSS

冬の日のお話。ふたりがこんな時間を過ごすのは、日曜の午後とかかなって思います。

 




「寒ぃ」
 黒崎が言った。
「そう?」
 別に寒くないので曖昧に答えると、明らかに不満そうな声で黒崎は続けた。
「お前、寒くねぇの?」
「別に」
「んな格好してんのに?」
 不思議そうな声。
 そんな格好って、この格好が、そんなに寒そうに見えるのか?
 アンダーウェアがわりのカットソー、綿地のシャツ、厚めのフリースの上着。
 確かに僕の部屋には暖房は入っていないけれど、そのぶん、ちゃんと厚着をしてる。今日だって、三枚も着てる。
 下半身も、毛布を掛けているから、まったく寒くない。
 それに、上に着てるフリースは、そうだ、黒崎、君がクリスマスに押しつけてきたんじゃないか。
 静電気が生じるから好きじゃないと言ったのに、フリースはあったかいんだぜって言って。
 パーカーと言ったか、僕はこんなの着ないのに、お前に似合いそうだったからって言って。
 もらったものを着ないのも勿体ないし、オフホワイトの色合いも、前にチャックが着いているデザインも、まぁ、悪くないし、着てみたら、実際、あたたかかったし。
 黒崎とお揃いっぽいことと、それを着ているときの妙に嬉しそうな黒崎の顔を気にしなければ、部屋の中ならこれ一枚で過ごせるくらい、十分、あたたかい。
 だいたい、格好と言うなら、僕よりも黒崎、君のほうが薄着だと思うぞ。
 寒いって言うなら、もう一枚、上着を着ればいいだろう。
 そう思ったが、答えるのも面倒だったので、
「別に」
 もう一度同じことを言うと、黒崎が、明らかにむっとしたようだった。
「ほんとに? ほんとに寒くねぇわけ?」
「寒くないってば。ちょっと黙っててくれないかな、間違えるから」
 ぴしりと言うと、さすがに黒崎も押し黙ったが……。
「あ」
「なに、なんだよ」
「うるさい」
 ああ、もう。
 君が話し掛けるから、間違えたじゃないか。
 僕は、一度編んだ部分に手をかけた。
「折角編んだのに、ほどいちまうの?」
「だから、君はもう黙れ」
 いち、に……
 ……三段か。
 折角編んだけど、しようがないな。
「あーあ、勿体ねぇ」
 ぴ、と毛糸を引いた横で声がする。
 誰のせいだと思ってるんだ。
「黒崎」
「悪ぃ」
 牽制すると、黒崎は、さすがにしゅんとなったようだった。
 結構面倒くさいんだよ、ここの編み方。
 模様が複雑で、数えてないと間違える。
 というか、実際、間違えた。
 黒崎に話しかけられた程度で間違えるだなんて、気に入らないが、それくらいは面倒臭い。
 いち、に、さん、と数えながら、もう一度編み直していく。
 よかった、元に戻った。
 少しほっとしながら、僕は続きを編み始めた。
 編み物は裁縫ほど得意ではない。だが、黒崎に話しかけられたりしなければ、間違えたりなんかしないんだ。
 ほら、見ろ。
 君が話しかけたりしなければ、すぐに終わるんだから。
 少し集中したら、編み目模様の複雑な部分もすぐ終わった。
 よし。ちょっと休憩しよう。
「ん……」
 編み掛けのセーターを置いて、軽くストレッチングをしていると、黒崎がのそりと近付いてきた。
「……黒崎?」
 恐る恐る、と言った感じで僕が掛けている毛布に脚を突っ込んでくる。
「何してるんだ?」
「お前、寒くねぇの?」
「さっきも言ったよ、別に寒くない」
「結構冷え込んでると思うんだけど」
「雪の予報が出てるくらいだからね」
「だからさ、寒ぃだろ?」
「寒くないって言ってるじゃないか」
「違ぇよ」
 黒崎は、実に不満そうな顔をしてみせた。
「俺が寒いって言ってんの」
「え」
「だから、お前が寒くなくても、俺が寒ぃの」
 言うと、黒崎は、ぴたりと体を寄せてきた。
 膝の上に置いたセーターに気を遣いながら、僕の体に腕を回してくる。
 あ。
 そう。
 なんだ、そういうことか。
「なんだよ」
「別に。君って、結構寒がりなんだなと思って」
 笑いながら言うと、黒崎はふいと顔を横にそむけた。
「この部屋の中だけだよ、寒ぃの」
「だったら来なければいいのに」
「分かってんのに、そんなこと言うな」
 僕の体にぎゅっと抱きつきながら、黒崎は言った。
 薄手のTシャツは一応長そでだけれど、僕のよりはるかに薄いフリースの上着。
 その上にマフラーを巻いただけで、平気で外を歩いたりするくせに。
 僕のほうがはるかに体温も低いっていうのに、寒いって言いながら、僕の毛布に脚を突っ込んで、僕の体を抱き寄せて。
「しようがないな」
 僕は、編みかけのセーターと毛糸を横に置くと、黒崎の背中に腕を回した。
「石田?」
「君が風邪を引いたら困るからね」
 小さく言うと、黒崎は嬉しそうな顔をした。
「おう。だから、あっためてくれよな、石田」
「まぁ、なんとかは風邪を引かないって言うけど」
「うっせ。お前、ちょっと黙っとけ」
 塞がれた唇も、ほら、君のほうがずっとあたたかい。
 触れる指なんか、あたたかいどころか、熱いくらいじゃないか。
 これで寒いだなんて、信じられない。

 僕の部屋限定で、寒がりな黒崎。

 僕は、のしかかってきた黒崎の体重を受け止めた。
 


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