2007/8/13
収穫祭第一位
陽のしずく 梅木俊平
雪の無き冬献体という白さ
夜の風花看護婦が窓に見え
寺の子が寺に遊べり雪解光
雪囲解きて青空軽くなる
遠き野火書道塾から子が帰る
赤ん坊の声白梅を耀かす
紅梅や碁敵のもう来る頃か
月朧魚になりたき手足かな
真珠貝寐て春月のひとしずく
春眠の瞼にぬくき波の音
三月十六日海の残光よ
口中に春風野川描くべし
春めくや花屋に隣る時計店
子の瞳澄むビー玉弾けとぷ春昼
橋脚に光からまり燕来る
春めくや帆船を組むビンの中
少年の指紋が残る春の窓
春の沼杉は素直な木とおもう
村のどか背戸の瀬音も鶏の目も
山ざくら産着に雨の美しき音
凧捻る空の碧さを引いている
春愁や墨壷乾く綿の嵩
春灯息を凝らして砂子振る
ものの芽や杉皮の塀山居めく
仕上げ砥のゆっくり水吸う木の芽晴
襖絵や水車遅日の光曳き
風車水子の眠り陽に混り
木め芽晴風呂の水張るひびき浴び
菜の花やあまたの埴輸目が幽し
泳いでも渡れる湖花菜照り
収穫祭第二位
炭酸飲料 中山宙虫
冬の鯉眠って気化をするつもり
鵯が鳴く午後の駄菓子の当たりくじ
藪柑子数値で生きてゆく人間
映画館出れば耳から冬の街
冬の川跳んでとまどいある着地
街をゆく気まぐれ二月はドアばかり
鵙鳴いて森には森の心電図
厚切りの鮪が乗っている余寒
水仙を活ければ雨の地方都市
傍らは出てくる虫に空けておく
三月の島は真水の中にある
春は無口に極太文字の前ですぞ
わらび追い阿蘇のはずれに立っている
陽がにおう野蒜がにおう土手に寝て
春には春の草の実つけてくる少年
吊橋の僕らを越えてゆく毛虫
アクセル踏んで街のタ凪出てゆくか
七月の売られる陶器にあるゆがみ
草矢飛ぷ豊かな水の村をとぷ
あなたまでの時間問われている白桃
影のまま遠くなるひと稲の花
木製の玩具の音がする八月
落ちる水すべる水ありかなかなかな
つながらぬ会語が続く秋の雨
ガガーリンがふっと出てくる鉄道草
汚れたる草の実ちゃんとついている
照れ屋でしたね銀河が星で埋まらない
十月の空だ飛球が落ちてくる
満たされぬひとの目の街黄落す
均されてゆくにんげんや桐は実に
収穫察第三位
翼 佐藤七重
天空を急ぐ声あり海桐の実
天高し片手が翼になっている
曇天や空想好きのきりぎりす
今一度向き変え秋の水馬
優先席の少しの窪み鳥渡る
秋冷のつながって出るマヨネーズ
晩秋の野鳥マップと卵焼
何もせぬ机上のひろし木の実降る
その件は嫌とは言えずいのこずち
菊咲かせ昔のままの間柄
耳たてる卓のナプキン冬銀河
人の輪の寒さひろがる尾砥骨
我が脳の断面映す寒椿
蕪村忌の夕日からまるスパゲティ
寒タ焼翼もつ種ポケットに
建国日足見えている試着室
まるい声三角の声ゆりかもめ
鴨多彩十年先のわれ思う
反骨の一羽飛び発一つ浅き春
値在一な一る一備た}ぼぜρ繋棟ばす
蛇穴を出づコインパ、クは満車なり
一亙緑へ大きぺ鳴らす栴パ吻鈴
レモンほどの願いを揺らす立夏かな
伸びをして海とつな。がる芥字坊主
賑わいを遠目に右折藍浴衣
青い橋彼岸に懸けて冷し酒
・スりツパを街え犬ゆく終戦日

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