2008/4/13
ここはセントラルを離れ、遠い遠い北の国・ブリッグズ。
以前、この国が軍事国家であったころ、此処ブリッグズには、巨大な軍事要塞があった。そこは、北方司令部に勝るとも劣らぬ軍備を兼ね備え、北の大国・ドラクマに対する国境警備と、国境線沿いに当たるブリッグズ山脈を警備する、辺境警備兵――山岳警備隊――の人的管理を一手に引き受けていた。
ブラッドレイ大総統が謎の引退を遂げ、いったんアメストリス国軍は散会した。事実上の軍事主義国家の崩壊である。
その後、議員制の純然たる共和国政が敷かれることが決まったものの、しかしながら、人々の心は簡単には切り替わらなかった。
無理もない話である。昨日で軍は解散、今日からアメストリスは共和国ですよと言われ、一度はお祭り騒ぎの中、軍事政権廃止を歓迎したものの、アメストリスは未だ軍事カラーの強い国であった。人の心とは、実際に共和国政となり、生活に大きな変化が訪れなければ、簡単には切り替わらぬものなのだ。
なので、共和国政施行後も、国民らは相変わらず強いカリスマ性を持つ国のトップがいることを切望・支持した。大総統もしくは王として国を統べる者の存在、即ちキング・ブラッドレイの代わりになる者の存在を求めたのだ。
早速これに、アメストリス国議会が動いた。そこで国のトップとして、元首制度が敷かれ、旧国軍幹部及び議員の中から元首が選ばれることになった。その初代元首――対外的には国王相当位に当たる者――に選ばれたのが、オリヴィエ・ミラ・アームストロングだった。
オリヴィエは軍事貴族の出自であり、男社会の軍部の中で、女性として初めてトップクラスに仲間入りするという快挙を遂げた人物でもある。家柄、知性、財力はもちろんのこと、見た者を魅了する圧倒的な美貌とカリスマ性を備え、青く澄んだ怜悧な眼差しと、金糸雀のように気高く細いブロンドで、人の心を強く捉えた。
しかしながら、元首即位数年後、彼女は突如、出奔する。
『このような法律に御璽を押すのは、私は好まぬ』と言い残し…。
その際、ブリッグズ時代からの側近である、マイルズ・バッカニアの2名を初め、他数名の側近を連れて、慣れ親しんだブリッグズ城――旧称ブリッグズ要塞――へ向かったのだった――。
投稿者: miyanomiki
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