天才っているんだ…。
2007年から2008年へと年が代わるひととき、
私の胸の中を支配していたのは、そんな衝撃だった。
札幌のコンサートホール・キタラで迎えた、今年の幕開け。
大晦日の恒例行事という「ジルベスターコンサート」へ出かけ、
07年のチャイコフスキー国際コンクールで優勝した
神尾真由子さんのヴァイオリンに出逢ったのだ。
その人がステージに上がると、会場が大きな拍手に包まれた。
すでに“大物”の風格をそなえた、20歳そこそこの神尾さんに
わたしの目は吸い寄せられる。
札響の演奏で始まった、「ヴァイオリンとオーケストラの
ための詩曲 作品25」(ショーソン)。
演奏がぴたっと鳴り止み、神尾さんのソロが始まる。
わずかに前かがみになってヴァイオリンを抱え、
渾身の力と思いを込めて奏でる物悲しい旋律。
弓が、弦を切るように走り、大きく天へと抜ける。
その美しい動きは、まるで魔法!
一分の狂いもないメロディーに、ただ陶酔するほかなかった。
ふと、このまえ舞台挨拶に来た映画監督の言葉を思い出した。
「一瞬で心をつかむという点では、絶対に音楽には勝てません。
いい音楽はたった数秒で、聴衆を違う世界へと連れて行きますから」
まさにその通り。
メロディーが自分の耳から聴こえてくるのか、
体の中から沸き起こっているのかわからない…
そんな錯覚に陥るくらい、気持ちよく音楽と自分の身体とが
ぴったり重なり合う。
音楽がこんなに気持ちいいものとは知らなかった!
神尾さんがヴァイオリンの魅力について語った
「限りなく声に近い音が出せること」という言葉も印象的だった。
3月には、NYのカーネーギーホールでの演奏するそう。
ああ、NYへ、行きたい…。

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