いや、おれの所に回ってきたってわけじゃないんですけど。こんな場末にゃ来やしねぇだろな。
ここ数日、巡回先の日記やblogで突然目にするようになった、Musical Baton。「音楽についての質問に対する回答をネットにアップし、次の5人に渡す」という、不幸の手紙的な遊びである。不幸の手紙が幸福の手紙であっても、あれには受け容れがたいなにがしかがあった。しかし、Musical Batonは、ネット上では大流行り、といった風情だ。
不幸の手紙あるいは幸福の手紙は、広めるにあたって意義は具わっていなかった。しかしMusical Batonは、音楽という普遍的な話題を持ち、またポスタルメールではなくWEBでのもの、という手軽さがある。それ故、受け容れられ易いのかな、などと思ったりしている。
おれが
「6次の隔たり」についての記事を書いたのは、つい先日のことだった。そしてこのMusical Batonを知って、「6次の隔たり」のことを思い出すのは必然と言っていいだろう。
「一人から始まって、それぞれ5人ずつ繋いでいく」というのは、無限連鎖講 (ネズミ講) のそれと同じだ。
平林さん@hirax.netが提示した計算式 (以下引用) によると、
1人から次の5人という広がり、すなわち、5のべき乗を順に書いていくと「1 人 → 5 人 → 25 人 → 125 人 → 625 人 → 3,125 人 → 15,625 人 → 78,125 人 → 390,625 人 → 1,953,125 人 → 9,765,625 人 → 48,828,125 人 → 244,140,625 人 → 1,220,703,125 人 → 6,103,515,625 人」となる。13世代で世界のインターネット人口を突破し、14世代では地球の人口を突破することになる…。
のだそうだ。
もし、「全ての5人」がみな律儀な人で、3日でバトンを次の人に渡すとすると、およそひと月で世界中の人がMusic Batonを受け取った、ということになる。
そこで、
松永さん@絵文録ことのはの調査を読んでみる。ざっと、5月半ばに海の向こうで隆盛を迎えたものが、6月に入ってから日本に伝わった、ということが読み取れる。勿論、おれが提示した「一人が3日でバトンを廻す」という仮定には一切の根拠が無いので当てはめるのは無意味だが、「あっという間に広まった」とは言えるだろう。
ここで興味が湧くのは、「このバトン (あるいは指揮棒) を『6次の隔たり』の概念と照らして、では例えば平林さん@hirax.netと松永さん@絵文録ことのはの間が何次で繋がるか」ということだ。
平林さんが受け取ったバトンと、松永さんが受け取ったバトンは、バトンリレーが始まってから、いつかどこかで分岐したものだろう。片方を遡り、そして分岐した地点 (=人) で折り返し下り、を繰り返していくと、平林さんと松永さんの間には何次の隔たりがあるのか、ということが判る。お二人は勿論繋がっている、そういうわけだ。
スミルノフ教授も、
パルモさんも。
……などと考えていたら、絵文録ことのはからリンクされている
hxxk.jpで、お二人のサイトを確認できた。外にも、所謂「有名サイト」の名が連綿と並んでいる。ふむ、繋がりそして隔たりとはこういうことか。
しかし気を付けなくてはならないのが、「やはり世界中の人と人 (Musical Batonにおいては、サイト) は繋がっている」などという安易な結論を出してしまってはいけない、ということ。
5のべき乗によって導き出される理論値は、あくまでも理論値なのだし、実際に個人のテキストサイトアドレスを持つ人全てがMusical Batonを受け取ったことを確認しないと、論は机上を離れることはない。
じつは、おれにとって一番の関心事は「『n次の隔たり』という概念が人に見せる夢と、そしてMusical Batonで盛り上がっている有名サイトの人たちの動き、その両者に共通して作用しているであろう心理的要素」である。「n次の隔たり」を単なる絵空事と斜に構えている人の心は躍らせることが無いであろう、Musical Baton。
人と人との繋がり、それを広げていくことで自分が思いもかけなかった人と繋がっていることを知ったときに生まれる驚きと歓び。冷静に考えれば不思議でもなんでも無いものが意外なものと感じられる、その心理。
おれ自身が、最後ちょっと斜に構えてしまったが、結局、人と人とが出会うことによって醸し出されるアトモスフィア、多くの人はその雰囲気を肯定的に受け容れ、人と繋がることに喜びを見い出す、それ故「6次の隔たり」やMusical Batonが受け容れられている、ということなのだろう。
※余談:
大学受験の前日、高校の同級生から「必ず儲かる商売なんだけど、参加しない?」という電話が架かってきた。話を聞いてみると、何のことはないネズミ講だ。自分の友人に、そんなものに引っ掛かるヤツが居たということに驚き呆れたが、取り敢えず目を覚まさせるために、手近な紙にべき乗計算をして説得してみた。
ヤツがはまったネズミ講は、確か子の世代として抱えなければならない人数に10人が設定されていた、そんな気がする。いま改めて計算してみると、1人→10人→100人→10,000人→100,000,000人、か。4世代で日本の人口って(笑)。
冷静にその計算結果を伝えたのだが、「それで? だって必ず儲かるんだよ?」と返された。
一瞬、「じゃあおれもやってみようかな」と思った……ワケは無い。
あれ以来噂すら聞いてないけど、いま何してるんだろう、Y君。
ちなみに大学には無事受かりました。解答を済ませ、余った時間で「子の世代に何人を設定すれば、現実的っぽく見えて、人を騙せるのかなぁ」なんて考えたりしながら。

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投稿者: Francois Quevouxquien
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