22日のニュースで見た、農薬飲んで自殺図った男性が毒ガスを吐き、50人余りが負傷したというのがありました。
飲んだ薬品は「
クロロピクリン」。
「ピクリン」というと、甲種危険物取扱者試験の勉強をしているとすかさず第5類(自己反応性物質)の
「ピクリン酸」
を連想します。示性式は
C6H2(NO2)3OH
救急隊に伝わった薬品名は「ピクリン」だけだったというから、これを連想したのでしょうか。
しかしピクリン酸は常温・常圧では爆発性の非常に危険な液体です。そんなのを自宅で所有する人って・・・?
医療の現場の方も、このような異物を飲んだ場合は胃洗浄を真っ先にやるのが当然でしょうから、処置としては間違いなかったのですが、情報が無かったために被害が大きくなってしまいました。
さて、
クロロピクリンの示性式を調べると、
CCl3NO2
IUPAC名なら
トリクロロニトロメタン。
ピクリン酸に塩素原子がついたものを想像していましたが、構造上3・5位にはくっつきにくいので、どんな物質なのかと思えばピクリン酸とはなんら結びつかない形の物質でした。
それにしても、昨今のH2Sといい、今回のCCl3NO2といい、化学屋にとってはいやな世の中になってしまった・・・。