天明(てんみょう)家という豪農の屋敷が移築されている。建築年代は、18世紀後半(江戸時代中期)。正面に千鳥破風をもつ主屋・長屋門・枯山水庭園等からなる。
天明家は、鎌倉時代に下野国(現、栃木県)から現在の大田区鵜の木に移り往み、江戸時代には鵜の木村の名主役を勤め、約3,000坪余りの広大な敷地を持つ屋敷であった。大名が多摩川の鮎狩りなどに訪れるときは本陣を勤め、明治時代には役場として使用された。
天明家の入口である長屋門には、明和6年(1769)の棟札があり、主屋も同時代の完成と推定される。天明家に残る文書には、長屋門が文化3年(1806)に建て替えられたとの記録がある。また、屋敷の西側は、主屋完成後に増築された書院造りの建物で、修理の記録から文化5年(1808)以前には完成していたことがわかる。玄関には式台がついており、格式の高さをうかがうことができる。
長屋門・飼葉小屋などは、当時と同じ配置である。また、建築年は不明であるが、昭和の初め頃までは屋敷の東側に作業場、馬小屋、鳥小屋、米つき小屋が残っていた。また、庭に移築された稲荷では、昭和30年代まで毎年初午を行っていた。初午の日は、織を立てて近所の子どもを集め、菓子などを配ったという。
家の規模や造りから江戸時代の豪農の暮らしぶりが伝わる民家である。

天明家主屋。

竈。

茅葺きの長屋門。

座敷から庭を見る。

庭から座敷を見る。

天明家外観。