先週の土曜日、連続ワークショップ「まちを知る ひとを繋ぐ」の第4回目を行った。講師は、東区まちそだての会代表の兼松はるみさん。“「なごや文化のみち」エコミュージアム構想”というテーマでお話しいただき、その後、鳥屋筋から主税町の筋を善光寺街道に向かい、canna家具店、和ろうそくの有賀商店、熊野屋と見学した。canna家具店のように古い藏を再利用し、新しくこの地区に根付いた文化の香りのするお店。昭和の初めから町の変貌を見続けてきた有賀商店。江戸時代享保年間創業の熊野屋は、油屋から健康食品の店に姿を変えながらも歴史と伝統を守り続けている。
折角であるので兼松はるみさんの当日のレジュメを掲載する。かなりの量なので3回に分けて掲載しようと思う。
1.エコミュージアムとは?
○エコミュージアムの定義
地域社会の人々の生活と、そこの自然・文化・産業遺産などを現地において保存し育成し、展示することをとおして当該地域社会の発展に寄与することを目的とする、新しいタイプの野外博物館。フランス発祥。1995年頃この概念を日本に紹介した新井重三氏は、「生活・環境博物館」と訳している。
○エコミュージアム3原則
目的 : 地域社会の発展
あり方 : 現地保存型の総合野外博物館
運営方法: 行政と住民が一体となって発想し、形成し、運営していく。
新たにつくるのではなく そこにあるものをつなぐ
何か?ではなく どのように活動するか?
形態で(Form)ではなく 機能(Function)を重視する
○エコミュージアムの概念
…エコミュージアム(Ecomuseum)とは、エコロジー(生態学)とミュージアム(博物館)とをつなぎ合わせた造語で、ある一定の地域において、住民の参加によって、その地域で受け継がれてきた自然や文化、生活様式を含めた環境を、総体として永続的な(持続可能な)方法で研究・保存・展示・活用していくという考え方、またその実践である。
つまり、エコミュージアムは、その地の現在の生活や文化がどんな経緯でつくられてきたかということを住人自身が知り、また、他の土地の人たちにそれを見せることによって理解し、再確認する。そして、正しく受け継いでいくことに意義がある。
…総合博物館(general museum)ではなく、統合博物館(integral museum)だというところが特徴。一所懸命つないでいこう。ネットワークを細かくつくっていこう。それが統合博物館の大きな使命。エコミュージアムは統合するための概念装置。(@ p.66)
…エコミュージアムの原点は「オイコス(oikos)」ギリシャ語の「家」という言葉。家族、家族愛を含めた家、人が住んでいなければ家といわない。また、「家計」という意味も含まれる。ドイツ語の「オコロジー」「オコノミー」が、英語の「エコロジー」「エコノミー」になった。(@ p.78)
…空間と時間の博物館。過去ばかりを見るのではなく、現在を見て、現在から未来へ向かって進んでいく、その時間の先端を見ていくべきだ。地域が発展するためにはどういう産業、どういう職業、どういうものがこの地域特性にとってふさわしいのか、エコミュージアムはそういう歴史を創る研究をする立派な研究所でもある。(@ p.89)
○参考文献
@「実践 エコミュージアム入門」21世紀のまちおこし(牧野出版)新井重三著
A「エコミュージアムへの旅」(鹿島出版会)大原一興著
B「エコミュージアム・理念と活動 ―世界と日本の最新事例集―(牧野出版)日本エコミュージアム研究会編
○日本での試み
・(株)丹青研究所 エコミュージアム構想による地域開発の主な受託業務実績
朝日町エコミュージアム構想 (山形県)
川根地域まるごと博物郷計画 (静岡県)
名古屋市庄内川水と緑のふれあい回廊エコミュージアム構想調査(愛知県)
竹原市とその周辺活性化町づくり調査 (広島県)
あさんライブミュージアム整備計画(徳島県)
京築まるごと博物館 /文化財を活かしたまちづくり行動計画 (福岡県)
・その他事例
街は博物館構想―新宿区ミニ博物館