モリコロワークショップは、毎回フィールドワークをセットしている。1回目の「野外研」の岡本信也さんの時は、現在の鍋屋町のまちの姿を確認し、明治創業の寺島薬局なども訪れた。2回目の「歴史ナビの会」の伊藤喜雄さんの時は、養念寺や貞祖院、三の丸庭園などを訪れ、名古屋の隠れた庭園文化を確認した。3回目は、御釜師加藤忠三朗氏と大忠氏から鋳物師の伝統技術を学び、鍋屋町の「花藤ギャラリー」を見学した。
今回の兼松はるみさんの「エコ・ミュージアム構想」は、名古屋城東西の広範囲な区域のネットワークを創り出そうという活性化策である。そこで生活し、活動している人たちをコアにして捉えようという試みだ。「まちを知る・人を繋ぐ」という今回のワークショップの目的は、この「エコ・ミュージアム構想」に行き着くようだ。ぜひとも、もう一歩進めて、この構想を今まで築いてきたネットワークをフルに利用して実現に向けて推し進めてみよう。

主税町の地上に降りた屋根神さまの前で。

古い藏を改造した店舗、canna家具店で兼松さんお薦めの椅子に皆興味津々。
「エコ・ミュージアム構想」レジュメNo2
2.従来の博物館との違いと、「文化のみち」にあてはめた場合
* 対象〜その地域の生活そのもの(現在は存在しないものの、記憶として残る文化遺産・ソフトも含む) → 春田邸などの建物のほか、名古屋陶業の歴史、筒井・出来町の山車祭りなど
* 場所〜フィールドを活用し、その地で保存。集めたり移したりするための箱物を新たに必要としない(移す場合はなるべく現状保全)点在しているものを「つなぐ」ことに意義がある。 → イラストマップ、HP、連続講座など
* 主体〜住民・地域外住民。学芸員という専門家が主役ではなく、地域住民が主役→4
* 利用〜住民・地域外住民が訪れ、活用する。
* 明治村や川崎民家園などは、Open-Air-Museum と呼ばれ、従来型の博物館に属する。
3.エコミュージアムの基本構造
エコミュージアムは、一般に次の6つの要素から構成される。
@ テリトリー(境界領域)
A コア(核)、コア・ミュージアム(中核博物館)
B サテライト(衛星)、サテライト・ミュージアム(衛星博物館)
C 発見の小径
D アクセス道路
E サイン(道路標識)
@テリトリー
エコミュージアムは、各地に分散している資料や遺産を現地において保存することを原則としている。したがって、資料や遺産が分散されている範囲を境界領域と定め、その領域をテリトリーと呼んでいる。テリトリーの範囲は市町村の一部、市町村区域、複数の市町村にまたがるなど様々な形態がある。
テリトリーを設定する場合は、柱となる地域特性、すなわち山や川などの自然特性、文化や建造物などの文化特性、地場産業や伝統工芸、工場跡、鉱山跡などの産業特性などを明確にしておく必要がある。それらを複合的に取り入れることにより多彩なものとなる。
Aコア、コア・ミュージアム
コア又はコア・ミュージアム(以下「コア」)は、伝統的博物館のように資料を展示、保存するものではない。サテライト間のネットワーク、コアを中心としたチームワークの活動を中心とした企画及び運営、エコミュージアム内外の情報交換や伝達の基地として機能するものである。
したがって、このコアには、上記の機能を持つ本部事務局や研究室、資料情報センター、各サテライトの紹介や交通案内などの展示、図書室、実験・実習室、保護センター、講堂・映写室・教室、会議室などが必要であり、エコミュージアムの個性を表す土産品などを販売するミュージアムショップなどの施設も必要である。
Bサテライト、サテライト・ミュージアム
サテライトとは、テリトリー内の現地で保存している遺産をいい、これらを展示するのがサテライト・ミュージアムである。フランスではアンテナとも呼ばれている。サテライトの対象となるのは山・河川・湖沼・森林などの自然遺産、町並み・民家・古墳などの文化遺産、鉱山・農場・生産工場などの産業遺産である。なお、自然・産業遺産のみならず、現在の自然環境や文化、産業の展示も対象となる。
C発見の小径
サテライト周辺の自然探索路などを「発見の小径」と呼んでいる。利用者にとってはすべてが目新しい発見の連続であることから名付けられた。これをつくるときは、生態系の保全及び景観への配慮などが求められる。
Dアクセス道路Eサイン(交通標識)
外部地域からエコミュージアムのコア、コアから各サテライト、サテライトからサテライトなどを結ぶ道路をアクセス道路といい、コアやサテライトの位置を示す標識やサインをいう。