今年は、1年生の音楽科の生徒対象に「現代社会」を教えている。先週は、「大衆社会」とか「高度情報社会」を取り上げた。今週からは、図書館学習で新聞づくりの課題に取り組ませることにしている。
先日、宗教に関する授業で「イスラーム」を取り上げた。それまで私の中のイスラ−ムのイメージは、砂漠の民の戦闘的イメージ、絶対神アッラーへの帰依、モスクでの礼拝、そして自爆テロなどなかなか理解できない面が多かった。しかし、新聞の広告でたまたま、片倉もとこさんの『ゆとろぎ』(岩波書店)という本を知り、生徒とともに行った丸善ツアーの折、購入して図書館に入れ、早速読んでみた。その前に同じ著者の『イスラームの日常世界』(岩波新書)を読んでいたので、すんなりとイスラームの日常生活が理解できたような気がする。
イスラームの家庭でもっとも大切にする時間は「ラーハ」と呼ばれる。これを片倉さんは、「ゆとろぎ」と訳された。「ゆとり」と「くつろぎ」を合わせた造語である。「ゆとり」と「くつろぎ」から「りくつ」を抜いて「ゆとろぎ」である。家族の時間を大切にする。時にお客をおもてなししたり、珈琲や茶を飲んだり、詩を朗読しあったりする。仕事は二の次、遊びも二の次、本当に大切なのは心豊かなラーハの時間だという。
日本人の家庭はどうだろう?父親は、家庭より仕事を優先し、休みの日はゴルフやギャンブルにのめりこみ、子育ては母親に任せ放し。家庭の中でゆっくり家族が向き合う時間もない・・・などという家庭の話をよく聞く。私の場合も子供が中学校に通うようになると顔を合わすことが減ってきて、大学生の頃は全く生活時間が違い、顔すら見ることがなくなっていた。夫婦二人になった今、家庭とは何であったのかと問い直し、イスラームの人々のように、どうしたら「ゆとろぎ」の時間を作り出すことができるか考え直してみることが必要なようだ。
