ご来訪ありがとうございます。こちらは「多角文芸研究会」のBlogとなっています。
多角文芸研究会とは、ありとあらゆる文化文芸(小説・論文・音楽・演劇・絵画・映画・漫画・アニメ・ゲーム・ガンプラetc)を、さまざまな視点から見ていくことを主とし、批評から創作までやってみようじゃないかという、ある種ヤミ鍋に近い集団でございます。
創作誌の『たぶん本。』と文化批評誌『抄』を年3回程度発行しております。詳しくはカテゴリからそれぞれのバックナンバーをご覧ください。
バリバリと活動中です!興味をもたれましたら、気軽にコメントや拍手なぞをいただけるとうれしく思います。当Blogのリンクはフリーです。
連絡先はtabunken☆yahoo.co.jpです。☆の部分を、半角アットマークに変更してください。

2011/3/29

タカハシの非毒非薬  エッセイ


タカハシです。ご心配お掛けしました。落ち込んだりもしたけれど、私は元気です。
未だ岩手から身動きが取れませんが、何とか授業開始までには京都に戻れるかと思います。
地元が大打撃を受けましたので、震災について色々と思うことはあるのですが、ひとまずこの場では、普段通りのどうでもいい話を書かせていただきたいと思います。
それでは、どうぞよろしく。

今回被災された皆様に、心よりお見舞申し上げます。
また不幸にも命を失われた方々へ、ご冥福をお祈りします。
_______________________


 室内の臭気や淀み、花粉などの汚れを感知して自動的に動作するタイプの空気清浄機というものがある。岩手の実家で使われているのがこのタイプで、先日、この空気清浄機の横をひょいと横切ったら、今まで眠っていた機械が突然はっと目を覚まして、がががと音を立てて労働し始めた。
 これはまあ、ちょっとした衝撃である。つまりデリカシーも何も無い正直な機械に「お前、ちょっと臭いよ」と言われた訳だから、それはこっちだって思うところがあるわけだ。男も二十歳を過ぎれば加齢臭めいたものも出るのかとか、これからは少し周りに気を使って生きて行かねばならないかな、などと考えつつ、もう一度だけ確認するみたいに空気清浄機に触れてみたところ、今度はなんとぴくりとも反応しなかった。
 おやと思ってもう一度触れてみても何も起こらない。体全体で覆いかぶさってみても何も無いのだ。これはどういうことだ。まさか機械が気まぐれを起こすとも思えないし、ひょっとすると定期運転をしているところにたまたま居合わせただけなのかもしれない。そう思い込むと少しは救われる。僕はまだ大学生なのだ。おじさんと呼ばれるには早いだろう。
 しかし妹や兄に「お前は体臭がするタイプだ」と言われたこともあるから、あまり現実を逃避せず素直に受け入れよう。そして自覚して慎ましやかに生きよう。だって体臭は生態だし、どうかしようと思ってどうにか出来る問題でも無い。そうやって色々なものから自分を守ってきたような気がする。まあ、どうでもいい。空気清浄機の話だった。

 そういえば一人暮らしを初めて半年程たった頃に、室内の結露と、どことなく閉塞的な空気が気になって、ボックス型の空気清浄機兼除湿機を買ったことがある。ハードカバーの書籍くらいの大きさで、確か三千円くらいしたと思う。しかしこれが全く役に立たなかった。部屋の窓を開けておくほうがずっと効果的だったのだ。下手な買い物をしたことを認めたくなくて、なんとか良い所を見つけようとしたのだけれど、知れば知るほど、彼がいかに空気清浄機として下等かを認めざるを得なくなり、そしてそれを選んだ自分の審査眼を恥じた。その後空気清浄機は数ヶ月に亘り部屋の一角を占拠し続け、町中のもう使われなくなったポストみたいにぼんやりと立ちつくしながら、僕に無駄遣いの実感を与え続けた。
 これは悲劇である。空気清浄機にも悪い事をしたなあと思う。心なしか空気清浄機も小さく恥じ入っているように見える。だからといって愛着が湧くことも無かったので、その空気清浄機は実家に島流しに遭い、しかし実家でも当てにされること無く、和室の片隅でぽつりと余生を送っていた。あの光景はなかなか、無言で居ながら見事に寂しさを体現していた。
 きっと、このさき何か身を切る程に心が寒くなることがあったら、その時の気持ちを空気清浄機に例えられると思う。



3



2011/4/1  19:32

投稿者:ばね

無事の報を聞き、安心しました。

無事のお帰りをお待ちしております。

コメントを書く


名前
メールアドレス
コメント本文(1000文字まで)
URL




teacup.ブログ “AutoPage”
AutoPage最新お知らせ