かねて、国際社会でハーグ条約締結が求められていた。我が国でも国際結婚は増えて、2010年は3万件、離婚も1万件近くある。子どもを無断で連れて帰ることも多い。片方の親は面接権を手続きなしに失うことになる。
このため外国から親権の裁判をするために子供を元の国に返すことに求められる。ハーグ条約では、子供が現にいた国での訴訟が求められる。連れて帰るにも客観的な判断、適正な手続きが求められる。
要綱案では、東京と大阪に家庭裁判所を置いて判断する。
ハーグ条約には先進国82国が締結、日本も避けては通れない。
我が国での裁判では,DVや暴力の危険が認定されれば、返すことを拒否できる法案を盛り込んだ。
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ハーグ条約 子供の幸せ守る制度に
国際結婚が破綻した場合の子供の扱いを定めた「ハーグ条約」に加盟するための国内手続き案が決まった。法相の諮問機関である法制審議会の部会が要綱案をまとめた。
条約は、父母の一方が無断で子供(16歳未満)を国外に連れ帰った場合、原則として子供を元の国に戻したうえでどちらが養育するかを決定するとのルールを定める。昨年12月現在で締結国は87あり、主要8カ国(G8)では日本だけが未締結だ。
欧米からの加盟働きかけが強まり、菅直人前首相が昨年のG8首脳会議で加盟方針を表明していた。
子供が現に居住する国の裁判所が、返還すべきか否か判断するというのが条約の考え方だ。今回、法制審部会は、当事者が争う場合の司法手続きの規定などを決めた。
要綱案によると、子供を連れ出された親からの申し立ては、東京家裁と大阪家裁に限定する。両家裁の非公開の審理で原則通り戻すかどうかを決める。手続きは3審制で、高裁や最高裁まで争える。また、申立人が子供や配偶者に暴力などを振るうおそれがある場合は返還拒否を考慮できると法案に明示する。
子供を連れ帰った親が元の居住国から誘拐罪で指名手配されるなど深刻なケースも出ている。国際問題に発展し得るだけに、家裁の窓口を絞って専門的に審理したり、3審制で慎重に結論を出すのは妥当だろう。
DV被害に配慮した国内規定は、加盟国にあまり例がないことを理由に欧米などから反発も出ているが、日本独特の事情もある。
日本では、日本人の母親が子供を連れ帰る例が多数に上る。外務省が把握しているだけで、米国、英国、カナダ、フランスの4カ国から計200件以上の例が問題提起された。そして、子供を連れ帰った親の多くがDV被害を訴えると言われる。
「自国民の保護」や「子供の利益」を考えれば、DV規定の明示には一定の説得力がある。
もともと条約には子供の心身に害を及ぼす場合、裁判所は返還命令を出さなくてもよいとの規定がある。実際に主要締結国の司法判断は、「返還命令」7割に対し、「返還拒否」が3割だ。条約の趣旨をはみ出すような規定ではないことを諸外国に丁寧に説明してもらいたい。
政府は3月にも法案を国会に提出する方針だ。責任国家として、国際社会の問題解決のルールに従うのは避けられない。ただし、返還命令が確定すれば子供と親を引き離す手続きも取られる。それだけに、国会では当事者の声も聞いて細部にわたり議論を尽くすべきだ。何より子供の利益や福祉を最重要に考える制度にしてほしい。
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