大学の授業で常滑に行って来た。

INAXのどろんこ館を見学。採取した「はがね土」をそのまま擁壁として使い、「版築」を外壁として使った、土地と建築が融合した場所であった。ランドスケープも版築やタイル、たたきを組み合わせて、違和感のない地面から生えたようなデザインであった。内部にも、久住さんらによる常滑大壁や日干し煉瓦が壁に施され、たたきの床にもはだしで歩けるようになっていて、学生たちも実感が持てたようだ。ただ、ワークショップで作り上げたこの空間、その当時から関わっていればもっと実感が沸いたであろう。敷地内にある、象設計集団が昔作ったトイレパークも久々に訪れた。那智石や常滑焼の部材を組み合わせ、当時バナキュラーな作品として注目された。学生たちにはすこぶる不評で、少々、こちらが困惑する。時代の違いなのか、彼等が勉強不足なのか・・?用賀プロムナードや郡上八幡のせせらぎのみちを見てもこういう反応なのだろうか?
さらに敷地内にある窯のあるギャラリーの煉瓦で造られた窯の内部、非常によい空間であった。スケールといい、光の状況といい、置いてある家具のセンスもいい。ここは学生たちも納得の空間だったようだ。もともとある産業遺産としての窯の迫力、それを覆う木造の家型のリアリティ、さらにこの空間を意味化する家具や照明、これらを敏感に感じ取ることはできるようだ。

その後、足を伸ばして、半田赤レンガ建物(旧カブトビール)と新美南吉記念館に行く。前者は今年の愛知建築士会の学生コンペの「**ルネサンス」シリーズの題材となる場所。参加する学生もいるはずなので現地見学をした。残念ながら公開日ではなかったから内部に入れなかった。南吉記念館は13年ほど前われわれもコンペに参加してみごと落選した思い出の場所。審査員は宮脇壇氏。若手の建築家に作って欲しかったということで、建築家・新家良浩氏が選ばれ作られた。ぼくは傑作だと思う。前述のトイレパークと同じ時代に作られたと思うとかなり斬新かつ、現代につながっている。愛知の現代名建築のひとつにあげて恥ずかしくないものだ。その後、新家さんはどのような活動されているのかお聞きしたい。

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