7/16-18
魚野川本流を遡行するのは2回目だ。
3年前に遡行したときは水量が多くて下部ゴルジュ地帯をかなり苦労した。今回の魚野川はとても優しく僕たちを迎え入れてくれて、メンバーの力量もあり、通常高巻を強いられるところも、すべて水線上で遡行出来きた。皆、読図力もあって、すばらしい。メンバーに感謝感謝!
美しい魚野川には「釣り屋さん」達の残骸がいたるところにあった。depoされたブルーシート、鍋、焚き火廻り に捨てられた、カンやペットボトル、トラロープの残骸。一番醜いのは惨殺された岩魚たちのおびただしい腑か。沢に入ればもちろん僕も釣りをする。その晩僕たちが食べる分だけを感謝を込めて釣らせていただく。釣り屋さんがその気になればたぶん100匹ぐらい釣っちゃうだろう。彼らは岩魚たちのはらわたを抜かれた死体の写真を撮り、下界に持ち帰り、近所知人に可哀想な岩魚たちの死体を配り、こんだけ獲物があったと満足げに笑うのだろう。そして、あそこも昔はいっぱい釣れたのに・・なんて友達に語るのだろうか・・。
幸せな焚き火の夜をすごしながら、谷間から見上げるとツガの梢の隙間に夏の星達が瞬いている。いい焚き火の一瞬はいつまでたっても心に残る。
二十歳ぐらいのころ上高地の焚き火で歌った
思誠寮の寮歌「あゝ青春」の一節を思い出す。
嗚呼青春の歓喜より はえの力は生れ出でて
燦爛高き天の座に 生命の群のわなゝけば
聖歌を聞くやえのきばの 木梢に星は瞬きぬ
メンバーのガールズは、初めてメンバーに加わって楽しそうなM嬢と、日頃の多忙を忘れ生き生きとしたcue小姐。
「魚野川の妖精達とは、君らのことだよ・・・。」と、焚き火端で言ってみたけど、それはブツブツと言葉にもならず、ザワザワと沢音にかき消されて、二人には届かなかったようだった。