蟻が１０ooo！

亜高山帯に棲むエゾアカヤマアリ（Formica yessensis）は
アリ塚をつくることで有名です。
エゾアカは多雌のアリで、ほとんどのアリ塚には複数の女王がいます。
多いときには十数匹もの女王がいます。
採集するときはコロニーが存続できるように全部の女王を捕獲せず
数個体残してくるようにします。

単雌の方はＷ５０ほどを採集してきました。


多雌の方はＱ４でＷ７０ほどを採集してきました。

エゾアカは気性が激しく、アリ塚を壊されると物凄い攻撃をしてきます。
いや、応戦と言った方がいいかな。
たくさんのワーカーが噴水のように蟻酸噴射をしたり
手に噛み付いてきます。
蟻酸は強力で、吸虫管で吸い込むにも根性がいります。
そんな激しい種ですから飼育は難しいです。
しかも、暑さに非常に弱いので、夏場の暑さ対策ができなければだめです。
赤くて綺麗なアリなので、上手く飼育したいんですが
初めて飼ってから２年経ちますが、まだ順調に飼育できていません。
現在は１年半飼育しているコロニーが１つ、今回採集してきたコロニーが２つ
合計３コロニーになりました。

今日は標高１８００ｍの亜高山帯に出かけてきた。
ヤマクロヤマアリ（Formica lemani）がいるのではないかと
以前から目星をつけていた場所である。
そこには予想を裏切ることなく棲息していた。

光沢のある褐色がかった黒色の体。
脚が赤っぽく見えるのが特徴。
ツヤクロヤマアリは漆黒で強い光沢があるので違いはすぐわかる。


女王も艶があり、脚が赤っぽい。



４コロニーを採集してきたが、単雌が２、多雌が２であった。
ヤマクロヤマアリ（レマニ）は多雌である。
多雌コロニーはＱ４とＱ６で、採集した４コロニーともＷ５０以内である。

この時期の亜高山帯は、我々が住んでいる所の４月頃の気候で
コロニー全体が暖をとりに石の下にあがってきているので
採集は石を裏返すだけの簡単なもので全巣採集ができる。

なおも掘り続けていたクロナガだが、ここにきてどうやら落ち着いたらしい。
その理由は青丸の部分。
今までは、掘り出した砂を盛り上げた部分まで通路ができていたが
今日は外へとつながる巣口を完全に塞いでしまっていた。
教えていただいたデータによると
柔らかい土に穴掘りをしたときの平均値は１５cmなのだそうだ。
そして、現在の巣口からの深さはピッタリ１５cm。
しばらく見ていたが、以前のように掘ってはいない。

赤丸部分が育児部屋だろう。
先端部分と行ったり来たりしているが、こちらにいることが多い。


卵をくわえている。
数は７〜１０個くらいだろう。

昨日からの一日で赤丸の部分から下を掘った。
赤丸の部分に育児担当の女王がいる。
青丸の女王は巣穴を掘っている。
なんとなくアリの巣っぽくなってきた。
・・で、温度があがる日中は、まだ掘り進んでいます。
気温が２０℃くらいから下回ると落ち着いています。
活動が鈍るんじゃなくて、くつろいでいるんです。
湿度は全体的に不足していないはずなので
気に入った温度を求めて掘っているのかな？
断熱材を使って円筒蟻巣全体を仕舞う箱を作り
夏場に高温になりすぎないように
また、地中は外気温による温度差が激しくないので
温度差が少しでも小さくなるようにしてあげなきゃね。

昨夜の雨も上がり、今日は朝から穏やかでとてもいい天気になった。
ほぼ無風で、こんな日は絶好の飛行日和なんだよね。
しかし、こんな日は絶好の田植え日和でもある。
仕事があるので観察は無理だな・・と、半ば諦めムードだった。
ところがどっこい！
ちゃんと女王さまの方から近寄ってきてくれるのである。
モテる男は違うのだ v(^_^)

クロクサアリ（Lasius nipponensis）
ふと足元を見たら歩いていた。
近くにコロニーがあるのかと思い探してみたら、車を停めたすぐ隣に！
灯台下暗し・・である（苦笑）
飛行は気温が高くなった１１時には終了してしまった。

クロクサアリとクサアリモドキはとてもよく似ている。
見分けるポイントは腹柄節（赤丸部分）だ。
クロクサはご覧の通り∩型だが、クサアリモドキは∧型になっている。
飛行時期はクロクサの方がクサアリモドキより１ヶ月ほど早い。



こちらはアメイロアリ（Paratrechina flavipes）
ケアリ女王をそのまま小さくしたようなフォルム。
このアリは一気に飛んでしまうのではなく、散発的に何回にもわけて飛
ぶ。
雄が日当たりのいい石の上などで縄張りをつくり
雌が飛来するのを待つという習性を持つ。
この女王は自分から勝手に私の車に乗り込んできた。
私の車に営巣しようとしても家賃が高いぞ。

先日採集したクロナガを初期の巣穴掘りから観察しようと
円筒蟻巣に入れてあるわけですが、その経過報告をします。

５月９日に女王５個体を投入したのが最初で、あまりに掘らないので
その後、女王を３個体に減らしてみました。
蟻巣に落ち着かせるため、ダンボールで暗くしたのが功を奏し
先週よりの１週間で見ての通りの掘り具合です。
現在の深さは９cmで、５〜６cmのところが二股になっています。

女王３個体は、常時穴の先端部分にいます。
産卵が始まっていて、卵の数は５つ（赤丸の中）です。

わかってはいましたが、サンゴ砂と卵がそっくりで非常にわかりにくい・・・

リクエストのあった写真が撮影できたのでアップします。
クロナガアリの新女王が潜った跡の地表の様子です。

このように盛り土ができていて、土の色が違うのがわかります。

盛り土を取り除くと、中に５mmほどの穴があります。
これが女王の掘った穴です。
掘れば中に新女王がいます。


このような盛り土がしてあったら、息を吹いて土を吹き飛ばすと・・・

そこに５mmほどの穴があればアタリです。

トビイロシワも同じような盛り土をすることがありますが
掘り出した土の粒の大きさでと穴の大きさ判断できます。
当然クロナガが掘った方が粒が大きく、穴も大きいです。


あまり高くは盛り上げません。

このように穴が直接見えていることもあります。

いずれにしても、一度見つけることができれば
あとは簡単にわかるようになります。

飛行したクロナガアリ新女王が最初にどんな部屋を作るのか
興味があったので掘ってみた。
５月８日に飛行した新女王の潜りこんだ穴だ。


赤土の固い地盤に掘った穴は、深さ３５mmで
底が広くなっていて壺のような形をしている。
この穴は単雌が掘った穴だが、多雌の場合も若干広いが同じ形だ。
５つ掘った平均で約４cm、一番深いもので８cmほどだった。
もうちょっと深いかと思っていたが、地盤が固いとこんなもんなんだろうか・・・。

甲虫目オサムシ亜目 オサムシ上科ゲンゴロウ科
Cybister japonicus

先日はオニヤンマのヤゴを紹介したが、今回はゲンゴロウである。
田植えにいった我家の田圃で泳いでいた。
子供の頃はあちこちで見かけたゲンゴロウだが
農薬の影響や水質汚染、河川の工事などで激減してしまった昆虫だ。
水中で幼虫時代をすごし、蛹化のために上陸し土に潜らなければならないので
護岸された水路では蛹になれないのである。
環境汚染に敏感なゲンゴロウは日本各地でその数を減らし
レッドデータブックで準絶滅危惧種に指定されている現状だ。


体長は４cmほどあり、深緑に黄色の縁取りがある。
流線型の綺麗な昆虫です。




目が大きいね。
夜、外灯をつけていると飛んでくるので、走光性が強いのでしょう。
前足が太いので、この個体は雄である。
雌は前足が細い。

減ったとはいえ、幸いにも我家の近所ではゲンゴロウもまだ見ることができる。
子供の頃から馴染んでいた虫たちが減っていくのは寂しいものだ。

自宅裏庭にクロナガアリ（Messor aciculatus）の巣がいくつもあるが
昨日はそこでも飛行があり、そして一夜が過ぎた今日。

あちこちで数個体ずつが穴掘りをしている。



頭隠して尻隠さず
あんたたち、丸見えだよ（笑）

まぁ、こんな感じで１１ヶ所ほど掘っていた。
ひとつの穴には、複数の個体が一緒になっている。
私が見つけた１１ヶ所の全部が４個体か５個体のどちらかで掘っていた。
単独、あるいは２〜３個体とか、６個体以上という組み合わせはなかった。
この先、どこまで掘って最初の部屋を作るのだろうか。
朝９時現在での穴の深さは３cmってとこ。
早く土中へと潜らなければ身が危険だよー。


穴掘り中にシワアリに襲われたクロナガ脱翅雌。
この他にもクロヤマやクロオオに襲われて巣に運ばれた個体も数多い。
自然は厳しいのだ。