最近は昼飯を食べて、夜は午後10時頃帰る生活である。
昨日帰宅してゴチャゴチャした中でテレビ映像に「911テロ」の瞬間映像が映ったのでおや?と思った。なぜならドラマらしきものをやっており、例日の如く、家人が2時間サスペンスを見ているかと思っていたからだ。すると、落ち着いてくると「田中真紀子」らしき女も出てくる。話を聞くと、小泉純一郎の首相時代のドラマをしているらしい。これには唖然とする。たしかに落ち着いて画面を見ると外務省の田中均を演じているらしき俳優が出ている。
これはまずいだろう!何故なら、小泉首相は現役である。小泉首相の5年はまだ総括できない諸問題の集積であり、ありとあらゆる多面的な他者の評価と批判と、矛盾とが”ない交ぜ”であり、まだまだ当面の間、歴史的な評価を下すことなど出来るわけがないからだ。
これが空手の大山マスタツとか(古いか)、イチロー物語ならまだ良いだろう。芸能人、スポーツマンなら苦労と成功の美談ですませられる。その中に取捨選択された事柄や、人々の存在を多少無視しても。テレビの功罪としてかたずけられる。
しかし、政治はまずい。ましていま現在進行形の政治だ。ここはまさに枝葉にこそ評価の分かれ目になる点が多々あるはずだ。外務省の問題だとしても、例えば「国家の罠」を描いた佐藤優の視点があるはずだ。一方の視点を捨てるのはフェアじゃない。また、郵政問題でいえば、(象徴として)亀井静香の側の視点が欠落しているのもフェアじゃない。多面的で、多くの利害者を抱えすぎているのだ。現代政治は大河ドラマじゃない。というか、なんと次元の低い仕掛けのドラマであることか。。。
本当は虚しい。あそこには3人の自民党総裁候補者がゲストでいた。番組最後の司会者たちのおもねりよう。候補3人がたじろぐほどのおもねったツッコミ。
日本テレビは僕にいわせれば「死んだ」。日本のFOXテレビか。
そして、ドラマに頻繁に登場する官邸詰めの若手記者役の俳優たちの間抜けな素人ぶり。マスコミ自身の自虐なのか?自分たちで自分たちを貶めるような知性の無さ、単なる野次馬ぶり。アタマを抱える。で、こういうことで、若者の親近感を掴めると思っているのか?「馬鹿にしているのか?」気の利いた若い人は吐き捨てているんじゃないのか?とますます頭を抱える。
とにかく小泉周辺にいなかった人間たちのドラマ、切り捨てられた側のドラマもあったはず。その上でないと政治ドラマは本来非常におっかない。大河ドラマも長い間、明治維新は視聴率が取れない、といわれたのは薩摩と会津でそれこそ戦後もずっと一般の歴史評価とは違う、長い確執があったせいだといわれる。
率直に書く。何と今のマスコミ人種は軽率で幼稚なのだろう。
朝飯の都合で見ざるを得ないみのものたの「朝ズバ!」。・・・彼の口調は香具師の口調なのだ。その意味で大道芸のルーツを正当に引いている。政治的身振りで怒れる身振りは、熊野や吉野の山伏修行から降りてきた、山伏修行に失敗した触れ込みの偽山伏の都会の現代批判に似る。彼らは結局「霊験あらたかな」御札かなにかを売りつける商売だが、激越に社会批判し、昔は良かったとあおる。芸の妙味は、「間」である。激しさと、”これがセールスポイント”のところは口調を和らげる。「間」合いの商売である。一部の才気ある香具師の血脈を引く人は、TVで見事に生きているのである。(参考:「日本の放浪芸」カセット・小沢昭一監修)
しかし、ここでも政治家ものこのこ出てくるから危険極まりない。彼らは「おじさん、これ売っとくれ!」と叫ぶサクラの少年と同じだ。
書いていてだんだん嫌になってきたが、何故かと言うと、僕だって愚かな一般人だ。感情に負けやすい人間だ。論理性に弱い。だから、そのいつも余って、たまる感情は音楽、漫画、文学、映画、ついでにライブに閉じ込めようと思っている。そこで、自分のいわば動物的な、非理性的な感情を解放しようとしているのだ。
そして、政治は冷静に、時に冷徹に観察したいと思う。政治は、現実から絶対に遊離したくない。政治は、退屈でも、システムの方向性は出来るだけきちんと追いたい。政治は、常に疑っていたい。というか、自然に疑いが湧き上がる。そして出来るだけ中立に見たい(これは非常に難しいのだが)。
だからこそ、逆に音楽について書きたいのだ。もっといえば、その好きな音楽について書くことで、逃げたいのだ。カッコウをつけていえば、その唄たちを聴くことで帰っていける場所を確認したいのだ。(これは長田弘の言葉からのカッパライだ)。もちろん、ソーシャルコメントにかかわる音楽を聞いて何か書くということもあるから、線引きは難しい。
だが、今起きている政治は別だ。僕が恐ろしいなと思うのは、「分かりやすい政治を一般に届けて欲しいです」とありきたりの、この問題多きドラマの最後にとってつけたような司会者が述べるようなことだ。
政治がいわばポップに擦り寄って、支持を得ようとしている。そんなことは小泉政治になり、側近がマスコミやメディア対策をしていることで知ってる。しかしここまで露骨になると、本当に危機を感じざるを得ないし、まず日本の文化を貶めていくと思えて仕様が無い。サブカル文化も舐められたものだ。
政治がわかりやすいわけあるまい。まぁ、政治の主体者の心根は分かりやすいほど感情が沸騰しているだろうが。しかし、その方法論が一般に分かりやすいわけないではないか。
だからこそ、ネットでもさまざまな、いろいろの、憶測がいつも飛び交っているんじゃないのか?