おもちゃのカンズメをご存知だろうか。
チョコボールで銀のエンゼルを5匹、金なら1匹でもらえるアレだ。
今はまっている。
アレは全ての子供達の夢だ。
不思議な事にエンゼルを律儀に5匹集めてカンズメを手にした人が僕の周りにはいない。小さい頃なんとなく集めていたような気もするが、当たる度にどこかへ置いたはずのエンゼルはいなくなる。そんなもんだ。
カンズメの中身を見てみたい。
さしづめこの歳になれば大よその予想は出来る。どうせチープなキョロちゃん人形と袋詰めのチョコボールが入っているんだろう。
やめてくれ。誰もそんな下らないもの欲しくはない。僕達が欲しいのは夢だ。カンズメに詰まっていて欲しいのは夢そのものだ。もしカンズメを手にしたとしても僕はカンズメを開ける事が出来ないのではないだろうか。
遠目でカンズメを眺めながら中身を想像する方がよっぽど希望があっていい気がするのである。一体お前の中身は何なんだって想像しながら眠りたいのである。
もし今回エンゼルを5匹集める事が出来たなら、僕は何かやり遂げる事が出来そうな気になっているのだ。ニートとして就職出来るような気になっているのだ。
だからもう少しこの家にいさせてくれ。今しばらく眠る場所を与えてくれ。
文頭に書いた子供達の夢ってのは嘘だ。
カンズメは全てのニートの夢だ。
全国のニートに伝えたい。
働くためにチョコボールを買え!
ああそうか。ニートは金が無いんだ。
親に買ってもらえ!働くために。

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