2006/10/7

日相上人文書はメモなのか?  
ウィンズさんにはご理解をたまわりましたこと、たいへんにありがたく思うものであります。引き続きよろしくお願い申し上げます。

さて、このところ戒壇の事・義の定義について書いているが、とりわけ日相上人文書を中心に据えて、あれこれと書いている。すでに結論として、日相上人文書の事壇は広布以前か以後かの二者択一ではなくて、以前以後の双方に通ずる御指南であると申し上げた。
しかし、今のままでは顕正会員の納得を得られないかもしれないので、さらに考察を進めることにしよう。

実はこれまで、「日相上人文書の事壇」という表現を繰り返し使ってきたのだが、かの文書には「事壇」とは書かれていないのである。正確には「事戒」である。はたしてこれには、どのような意味が存するのであろうか?

表題の示すごとく、顕正会ではこの文書をメモであると主張している。このことがかえって河辺メモにおいて逆襲を受ける結果を招くのであるが、それはまた別の話題である。
冨士の二百九十九号には、「事の戒壇」の「壇」が抜けてしまっていることをもって、だからメモ程度のものに過ぎないのだ、という意味のことが書かれている。
ついでに言えば、これは当時の男子部幹事が書いている。わたくしの思うに、けっこう濃密な論文である。はたして今の男子部幹事にこれだけの文章が書けるのだろうかと思わせるものがある。だが、これもまた別の話題である。
ともかく顕正会ではかの文書をメモに過ぎないという。

日相上人文書の写真を拝見したい。

http://homepage1.nifty.com/imei/saiha02.htm

前にもリンクを貼ったことのある例の大草文書であるが、ここに日相上人文書の写真が掲載されている。

わたくしは古文書を読み解くだけの能力を持たない。特に仏教書は漢文体であったり、そうでなくとも難解な語句がたくさん書かれていて、しかも俗にいう「ミミズののたくった字」だったりするものだから、まったくお手上げなのである。ミミズ云々は普通、悪筆を指すのかもしれないが、わたくしにとってはどんな能筆であってもミミズにしか見えないので、恐れ多いことながら正直に申せば大聖人の御真蹟にも同様の印象を受けてしまうのである。もちろん、これはわたくしの素養のなさを申し上げているわけであって、他意を含むものではない。

その上で、改めて日相上人文書を拝見すると、案外に読みやすいように感じられるのである。もしかしたらこれはメモではなく、清書なのではあるまいか?

もう一つ、けっこう保存状態がいいように思うのである。
たまたま御書システムの今月のコラムに、虫食いのことが書かれていた。古文書は時間とともに劣化していく。保管の仕方にもよるだろう、悪い場合には数十年でボロボロになってしまうこともあるに違いない。虫食いもそうだが、あるいはシミができてしまって判読しづらくなることもあるだろうし、完全に判読不能の場合もあることだろう。

つまり、二つの意味でこの文書は、ひょっとしたらメモではないかもしれないと思うのである。
清書されていること、大切に保管されてきたこと、・・・これをもってすれば、あるいは日相上人が後世に遺そうと御考えになられた可能性もあり得るのではなかろうか?

もし、壇が脱字しているから清書であるわけがない、メモである、などと言う人があるとすれば、それはまず結論ありきの誤謬に陥っていると言わざるを得ないだろう。わたくしは常に、別の考え方が可能であるか否か、それを踏まえてから結論を出すように心掛けている。そうでなければ独善に陥ってしまうからである。

在々処々本尊安置の処は理の戒壇なり
富士山、戒壇の御本尊御在所は事の戒(壇)なり


しつこいようだが再び当該御文を掲示させていただいた。これは浅井先生の表記のままである。申すまでもなく、原本に(壇)はない。
わたくしは思う、日相上人は脱字されたのではなく、あえて意識的に壇を省かれたのではなかろうかと。これはどういうことかと言えば、ようするに築壇の意味を消されたのである。いわゆる事相の戒壇は築壇を意味するわけである。しかし、建物そのものに力が存するわけではなく、それはあくまで戒壇の大御本尊に存するのである。つまり、この意識の上からすれば、広布以前においても大御本尊のましますところは事壇である。だが、あくまでそれは建物のことではないという意味を示すために、意識的に事壇ないし事戒壇とは表記せず、事戒とされたのではなかろうかと思うのである。

もしもわたくしの推測が正しければ、まさに日相上人文書はいわゆる法体に約しての事・義のたてわけである可能性が濃厚となるに違いない。

顕正会員は、まず結論ありきではなく、あらゆる可能性をさぐることの大切さを知るべきだと思う。


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