2006/12/31

愚見継続  
曾谷入道殿許御書に、「嘉祥大師捨三論宗天台為弟子」という御真蹟の御文があります。これは天台の弟子と為ると読まなければ、天台を弟子と為すではおかしいことになります。この例から言っても、観心本尊抄の「本門釈尊為脇士」は「本門の釈尊の脇士と為り」と読むべきで「本門の釈尊を脇士と為し」と読むのではないと思います。他の御遺文の文章例から、そう考えられるということです。
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/read.cgi/study/3171/1110981541/51

この「本門の釈尊を脇士と為す」という読み方は、漢文の例から言ってもそのとおりなのです。『観心本尊抄』の前文の中に、「正像二千年の間は小乗の釈尊は迦葉・阿難を脇士と為(な)し、権大乗並びに涅槃・法華経の迹門等の釈尊は文殊・普賢等を以て脇士と為す。」(御書654ページ)とあるように「脇士と為す」という文が2例あるのです。『観心本尊抄』の原文は漢字体で、送り仮名は付いていません。したがって前2例このところも「為脇士」となっています。これを「為ス(二)脇士ト(一)(脇士ト為ス)」と前2例で読むのは当然ですから、このところも「本門の釈尊を脇士と為す」というように読むのが、正しい読み方です。
http://www2s.biglobe.ne.jp/~shibuken/PAPER/753/662.htm#9

本尊抄の読み方は日蓮宗と日蓮正宗で大きな相違がある。どちらが正しいかということで、わたくしは昨日、どちらも正しいと書いた。優柔不断である。
しかしながら、わたくしは、大聖人に一種の韜晦があるのではないかと睨んでいる。あえて意図的にどちらの読み方も可能なようにあそばされたのではないか?
ともかく釈尊と四菩薩の関係を本仏本脇士とするのが一般である。それを逆転させることは困難をきわめる。そこをあえて逆転させるには用意周到なる準備が必要であろう。本尊抄にはそうした仕掛けが所々に施されていると思うのである。

上掲の二つの引用ではどちらに蓋然性があるか、それは言わずもがなであろう。日顕上人の御指南が有力である。
文章の読み手は過去からの脈絡で意味をさぐるのである。未来を先取りすることはできない。
しかし、書き手は未来を先取りして、仕掛けを施すことが可能である。

其の本尊の為体、本師の娑婆の上に宝塔空に居し、塔中の妙法蓮華経の左右に釈迦牟尼仏・多宝仏、釈尊の脇士上行等の四菩薩、文殊・弥勒等は四菩薩の眷属として末座に居し、迹化・他方の大小の諸菩薩は万民の大地に処して雲閣月卿を見るが如く、十方の諸仏は大地の上に処したまふ。迹仏迹土を表する故なり。是くの如き本尊は在世五十余年に之無し、八年の間但八品に限る。正像二千年の間は小乗の釈尊は迦葉・阿難を脇士と為し、権大乗並びに涅槃・法華経の迹門等の釈尊は文殊・普賢等を以て脇士と為す。此等の仏をば正像に造り画けども未だ寿量の仏有さず。末法に来入して始めて此の仏像出現せしむべきか。

この一段、前半部分は曼荼羅本尊、後半部分は一尊四士、この両種の本尊を御指南あそばしておられる・・・という拝し方をする人もあると思う。
前半部分に釈尊の脇士上行等の四菩薩とある。後半部分においては、小乗経の釈尊は・・・を脇士と為し、権大乗等は・・・を脇士と為す、とある。この脈絡からすれば、まさに寿量の仏は四菩薩を脇士と為すこと、疑いようのないところであろう。

しかし、ここで大聖人はそれを明言あそばさない、まさに、これが仕掛けなのである。

すでに書いたごとく、読み手は前の文章を踏まえて理解していくわけである、すると、どうなるか?

此の時地涌千界出現して、本門の釈尊を脇士と為す一閻浮提第一の本尊、此の国に立つべし。

前の文章を踏襲して読むならば、この書き下しのごとく、釈尊を脇士と為す、と読めてしまうのである。しかし、読者の理解としては、逆のはずである。それがどういうわけか、釈尊を脇士と為すと読めてしまうのだ。あれ? なぜだろう?

これこそが耳目驚動、惑耳驚心ということだろう。

此の書は難多く答へ少なし、未聞の事なれば人の耳目之を驚動すべきか。

意外性が読者を魅了することは、どのような分野の文章でも共通であろう。大聖人におかれても、そのような効果をじゅうぶんに考慮あそばしておられたに違いないのである。

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