ホツマには、天照大神が生誕された際、ご自身で ウヒルキ と名乗られたことが記されています。
漢字文化が浸透した後、このウヒルキ に意味を尊重しながら当てはめるとするならば、大日霊貴 となります。
ところで、日本書紀では、天照大神を女神と認識させようと巧妙な工作をしています。
そ の結果、それ以前にはなかった漢字をわざわざ作り出して、大日孁貴 として、これを オオヒルメノムチと無理矢理読ませています。
元のウヒルキ に対しての漢字の当てはめは無理を感じません。最後のキ、(ギ)はイサナギ、イサナミと同様、キは 杵(キネ)で、男性を表します。
ところが、日本書紀での読ませ方では、天照大神を女性にしようとして、霊に女の文字を合体させた漢字を作り、残る貴にムチとかなを当てています。
この根拠は何か、を探ると、おそらく大己貴命にあるのでしょう。
大己貴命は オオナムチに大己貴と漢字を当てています。オオナンジノミコト、オオナムチノミコトと読みます。
ちなみに表記は
>古事記 大穴牟遅神
日本書紀 大己貴命・大己貴神
大己貴大神
先代旧事本紀 大己貴神・大己貴命
大穴牟遅命・大穴遅命
風土記 大己貴・大穴持命・大汝命
大汝神・大穴六道尊
万葉集 大汝・大穴道・於保奈牟知
祝詞 大穴持命
古語拾遺 大己貴神・於保那武智神
続日本紀 大穴持神 <
となっています。
http://www.pandaemonium.net/menu/devil/oonamuti.html
日本書紀では大己貴命と一貫していることに着目です。藤原氏の色合いの薄い万葉集では大己貴 は使われていません。
オオは問題ありません。己は ナ、 オノレ であり、汝(ナンジ)へとつながります。貴は男性を示すものとしてつけられた、(または、これを命の意味として使った)ものと思われますが、己貴の二つでナンジ=ナムチと読ませるようにしたのでしょう。本当は貴は余計であったと思われます。貴は単独では絶対にムチとは読めませんから。これまで、この貴をムチと強引に読ませることの意味合いについては問題にされてこなかったのではないでしょうか。
しかし、これは推測ですが、ウヒルキに該当する漢字として、記紀に先行する幻の書物の中に、あるいは各神社祭神名に大日霊貴とあったことから、書紀編纂者は最後の貴を切り取る訳にもいかず、オオナムチに大己貴という当て字をでっち上げた。そして、これにつじつまを合わせるかのごとく、苦肉の策で天照大神を、大日孁貴 オオヒルメムチ と読ませるようにした、という形跡が伺えます。
そして、以後、書紀を根拠として学んだ知識人の間で、次第に天照大神を女神である、という認識を広げようとしていったものと思われます。
そしてもう一つ。
日本書紀編纂者はオオナムチになぜ、この大己貴を当てたのか。それは大日孁貴と類似した表記を使うことによって、後々に、祭神名を大己貴命にすり替えようとする意図があったのではないでしょうか。現にそのやり方で神社祭神がすり替えられてしまった所もあるかもしれません。
さて、はたしてそこまで行くと勘ぐりでしょうか。