筆者は、六甲山と瀬織津姫とのかかわりについて調べていくうちに、役行者、空海、花山法皇、仏眼上人が、瀬織津姫祭祀の護持のために尽力されたことが判明し、そしてついには、その最初の担い手が聖徳太子であることにまで行き着きました。
筆者は、一昔前までは、神道の皇室と日本国家に仏教をもたらした聖徳太子の政策は、渡来系勢力を利するもの、ホツマに基づく日本の根本精神を弱めるもの、という浅薄なとらえ方をしていました。
しかし、六甲山周辺の寺院を調べていくうちに役行者、空海に先行して、瀬織津姫と聖徳太子とのかかわりを見出したこと、そして、聖徳太子が仏教のみを崇敬、推進していたのではないこともはっきりとわかってきたことから、視点が180度変わってきました。
すると、矛盾を強く感じるのが十七条憲法のあの気になる言葉です。 日本書紀記載の十七条憲法には、「篤く三宝を敬え。三宝とは仏法僧である」と記されています。
しかし、聖徳太子が神道をも重視していたことが、わずかに六甲山周辺を調査することだけからも把握できた現在、これはおかしい、という気持ちが高まってきました。
「仏、法、僧」の「法」が何を指し示しているのか、そして、仏、法に対等な位置としてはありえない「僧」を含めて三宝とする点には、ずっと違和感がありました。実は、これは改竄されたものだったのです。 三宝とは、本当は三法であり、「仏法僧」ではないのです。
聖徳太子十七条憲法は実は五種類あり、そこに記されているのは三宝ではなく、三法です。そして、三法とは、神・仏・儒つまり、日本古来の神道と、仏教、儒教のことだったのです。 すでに、渡来系が4世紀ごろから大挙して日本へ渡ってきた際に、彼らの、思想的・宗教的よりどころとなる教えも伝わり始め、応神天皇の時代には、すでに、儒教思想も入ってきていました。仏教も公伝は、538年といわれていますが、私的に渡来系が持ち込み始めたのも相当早い時代からであったと思われます。
以下はあるサイトから引用したものですが、改竄された部分の抜粋です。
http://www.geocities.jp/identaisi22000/kennpou.html
>改正前第十七条
《十七に曰く。篤く三法を敬へ。
三法は神儒仏なり。是れ百姓の總帰。万国の極宗。何れの世、何れの人、是の法を貴ばざらん。人、尤(もつと)も悪きは鮮(すくな)し。善く教ふれば之れに従ふ。三法を敬はずんば、何を以て枉(まがる)を直くせん。》
改正後第二条(坂本ほか校注『日本書紀』。以下同じ)
《二に曰はく、篤く三宝を敬へ。三宝は仏・法・僧なり。則ち四生(よつのうまれ)の終帰(をはりのよりどころ)、万(よろづ)国の極宗(きはめのむね)なり。何(いづれ)の世、何れの人か、是の法(みのり)を貴びずあらむ。人、尤(はなはだ)悪しきもの鮮し。能く教ふるをもて従ふ。其れ三宝に帰(よ)りまつらずは、何を以てか枉れるを直さむ。》<
日本書紀が、藤原不比等によって編纂され、日本の神話が徹底的に捻じ曲げられた代物であることは、以前にも記していますが、聖徳太子の御業績に関しても、書紀は相当な改竄をしていることをうかがわせます。
聖徳太子十七情憲法は、全部で五種類で85条からなります。この憲法の根底にある道徳観は、ホツマにも通じるものがあり、さらに、現在の社会にもそっくり適用されうる内容を多く含むものと思います。
故三波春夫氏が、この聖徳太子五憲法についてわかりやすく説いたものを著作として出版されています。
http://www.amazon.co.jp/%E8%81%96%E5%BE%B3%E5%A4%AA%E5%AD%90%E6%86%B2%E6%B3%95%E3%81%AF%E7%94%9F%E3%81%8D%E3%81%A6%E3%81%84%E3%82%8B-%E5%B0%8F%E5%AD%A6%E9%A4%A8%E6%96%87%E5%BA%AB-%E4%B8%89%E6%B3%A2-%E6%98%A5%E5%A4%AB/dp/4094026215
ネット上では、こちらで、五憲法の全文を閲覧できます。わかりやすい現代語訳がついています。
http://www.kunidukuri-hitodukuri.jp/web/koso7/index.html#koso7_7
【連載】聖徳太子憲法の価値を見直そう
•鼎の法道 神職憲法 第17条(2012.12.21)
•籠の品道 神職憲法 第16条(2012.12.14)
•水の時道 神職憲法 第15条(2012.12.07)
•天の公道 神職憲法 第14条(2012.11.02)
•地の徳道 神職憲法 第13条(2012.10.12)
•車の司道 神職憲法 第12条(2012.09.28)
•日の主道 神職憲法 第11条(2012.09.21)
•花の事道 神職憲法 第10条(2012.09.14)
•龍の謙道 神職憲法 第9条(2012.09.07)
•契の信道 神職憲法 第8条(2012.08.31)
•冠の位道 神職憲法 第7条(2012.08.24)
•竹の官道 神職憲法 第6条(2012.08.10)
•鏡の智道 神職憲法 第5条(2012.08.03)
•台の政道 神職憲法 第4条(2012.07.27)
•月の禮道 神職憲法 第3条(2012.07.20)
•斗の順道 神職憲法 第2条(2012.07.13)
•琴の和道 神職憲法 第1条(2012.06.29)
•神官に対しての憲法 『神職憲法十七条』(2012.06.08)
•鼎の法道 釈氏憲法 第17条(2012.04.20)
•籠の品道 釈氏憲法 第16条(2012.03.23)
•水の時道 釈氏憲法 第15条(2012.03.09)
•天の公道 釈氏憲法 第14条(2012.02.24)
•地の徳道 釈氏憲法 第13条(2012.02.03)
•車の司道 釈氏憲法 第12条(2012.01.27)
•日の主道 釈氏憲法 第11条(2011.12.30)
•花の事道 釈氏憲法 第10条(2011.08.19)
•龍の謙道 釈氏憲法 第9条(2011.07.15)
•契の信道 釈氏憲法 第8条(2011.06.24)
•冠の位道 釈氏憲法 第7条(2011.06.17)
•竹の官道 釈氏憲法 第6条(2011.04.29)
•鏡の智道 釈氏憲法 第5条(2010.08.20)
•台の政道 政家憲法 第4条(2010.08.06)
•月の禮道 釈氏憲法 第3条(2010.07.23)
•斗の順道 釈氏憲法 第2条(2010.07.09)
•琴の和道 釈氏憲法 第1条(2010.06.18)
•仏教者に対しての憲法 『釈氏憲法十七条』(2010.06.18)
•鼎の法道 通蒙憲法17条(2010.06.04)
•籠の品道 通蒙憲法16条(2010.05.21)
•水の時道 通蒙憲法15条(2010.05.07)
•天の公道 通蒙憲法14条(2010.04.16)
•地の徳道 通蒙憲法13条(2010.04.02)
•車の司道 通蒙憲法12条(2010.03.19)
•日の主道 通蒙憲法11条(2010.03.05)
•花の事道 通蒙憲法10条(2010.02.19)
•龍の謙道 通蒙憲法9条(2010.02.05)
•契の信道 通蒙憲法8条(2010.01.15)
•冠の位道 通蒙憲法7条(2010.01.01)
•竹の官道 通蒙憲法6条(2009.12.18)
•鏡の智道 通蒙憲法5条(2009.12.04)
•台の政道 通蒙憲法4条(2009.11.20)
•月の禮道 通蒙憲法3条 (2009.11.06)
•斗の順道 通蒙憲法2条(2009.10.23)
•琴の和道 通蒙憲法1条(2009.10.09)
•公務員に対しての憲法 『通蒙憲法十七条』(2009.09.24)
•鼎の法道 政家憲法17条(2009.09.11)
•籠の品道 政家憲法16条(2009.08.28)
•水の時道 政家憲法15条(2009.08.13)
•天の公道 政家憲法14条(2009.07.24)
•地の徳道 政家憲法13条(2009.07.10)
•車の司道 政家憲法12条(2009.06.26)
•日の主道 政家憲法11条(2009.06.12)
•花の事道 政家憲法10条(2009.05.22)
•龍の謙道 政家憲法9条(2009.05.20)
•契の信道 政家憲法8条(2009.04.03)
•冠の位道 政家憲法7条(2009.02.20)
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•台の政道 政家憲法4条(2009.01.09)
•月の禮道 政家憲法3条(2008.12.29)
•斗の順道 政家憲法2条(2008.12.05)
•琴の和道 政家憲法1条(2008.11.28)
•政治家に対しての憲法 『政家憲法十七条』(2008.11.14)
•鼎の法道 儒士憲法17条(2008.11.07)
•籠の品道 儒士憲法16条(2008.10.10)
•水の時道 儒士憲法15条(2008.09.26)
•天の公道 儒士憲法14条(2008.09.12)
•地の徳道 儒士憲法13条(2008.08.01)
•車の司道 儒士憲法12条(2008.07.18)
•日の主道 儒士憲法11条(2008.04.30)
•花の事道 儒士憲法10条(2008.04.22)
•龍の謙道 儒士憲法9条(2008.03.11)
•契の信道 儒士憲法8条(2008.03.07)
•冠の位道 儒士憲法7条(2008.03.04)
•竹の官道 儒士憲法6条(2008.02.29)
•鏡の智道 儒士憲法5条(2008.02.26)
•台の政道 儒士憲法4条(2008.02.22)
•月の禮道 儒士憲法3条(2008.02.15)
•斗の順道 儒士憲法2条(2008.02.12)
•琴の和道 儒士憲法1条(2008.02.08)
•儒学を教える人に対しての憲法 『儒士憲法十七条』(2008.02.01)
•聖徳太子憲法の価値を見直そう(2007.07.01)
不比等が、五憲法を抹殺したのは、間違いないでしょう。そして、神道を抹殺しようとする姿勢がここにはっきりと表れています。
彼ら藤原不比等とその思想継承者のになった政治とは、このような倫理観を一切否定したものであるという史実が、何よりそれを証明しています。
聖徳太子には17という数字に何らかのこだわりがあることもわかります。
2通りの推論として、 豊受大神を示す9 天照大神・瀬織津姫を示す8の総計で17 もう一つは8代目天照大神と瀬織津姫、9代目天忍穂耳命とタクハタチヂ姫、やはり8 と 9で17。このいずれかではないかと思われます。