秩父の山村・プロローグ
秩父はすべて山の中である
なんだか藤村の小説「夜明け前」をもじったような出だしになってしまったが、「秩父」とはまさにそんな所である。
これから私の「秩父路」をみなさんにご紹介しよう。
「秩父」とはいっても、ここでいうのは狭義の「秩父市」ではなく、一市九町村、埼玉県の全面積のおよそ四分の一にあたる広大な山岳地帯の総称だ。
昨年から撮影を続けているが、今回は最近撮影したものを何枚かご紹介してプロローグに代えることにする。
★山には雪が残るが、村落には陽光がふりそそぐ。
秩父郡・大滝村、巣場地区の全景。
日当たりが良く、鳥も好んで巣を作るという所から、巣場という地名が付いたのだという。
★日差しを求めて斜面にへばりつくように集落が存在する。
雪でも降ると大変だろう。
秩父郡・大滝村、強石地区。
★村営のバスがあえぎあえぎ登ってきた。
近年乗客が減り、存続が危ぶまれていると聞く。
秩父郡・皆野町、門平地区。
★斜面の集落のメイン・ストリート。
文字通り、狭い場所に肩を寄せ合うように家が建つ。
日差しはとても暖かいが、昼間はほとんど人が見当たらない。
秩父郡・両神村、煤川地区。
★秩父のオバチャンはみな良く喋る。
向こうからは決して話しかけてこないが、こちらから一言聞くと、二言も三言も楽しげに話してくれる。
ところが大変な照れ屋で、カメラを向けると「こんな婆さん、撮っちゃヤダよー!!」といって大抵はソッポを向かれてしまう。
秩父郡・両神村、煤川地区。
★ 日当りの良い場所に、この地域には珍しい「双体道祖神」もあった。
秩父郡・大滝村、巣場地区。
★山村には達者なご年配が多い。
この方は皆野町・重木部落の区長さんだが、ご先祖は何と秩父事件の発端を担う著名な思想家だった。
後日ご紹介します。
秩父郡・皆野町、重木地区。
★地名と同じ苗字の門平さんのおばあちゃん。
足腰もしっかりしていて今でも畑をやるという。
後ろは門平高札場跡。
秩父郡・皆野町、門平地区。
★残念ながら少子高齢・過疎化の波はここ秩父地域も例外ではなく、住民が山を降りるとか死亡したりして空き家や廃屋になった家が多い。
秩父の暗い一面だ。
秩父郡・皆野町、重木地区。
★同じく秩父郡・皆野町、重木地区の廃屋。
かまどのススで壁が黒い。
★啄木鳥が穴を開けた家。
秩父郡・皆野町、重木地区。
★花の時期までもうあとちょっと。
ここがもう一度鳥がさえずり、子供が遊ぶ村になることはあるのだろうか。
秩父郡・皆野町、重木地区。
※次回より個々の村落・部落についてご案内します。
また、村々に残る民俗についてもご紹介したいと思っています。
お楽しみに。

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