2007/5/28 | 投稿者: KINOSHITA

 参加約230人、第一次予選4日連続で始まった今年の奏楽堂日本歌曲コンクール、体力的に持つか心配しましたが何とか無事審査を終えることができました。今日の本選の模様はちらっとNHKニュースでも放送されたようですね。ただでさえ多い参加者数が今年さらに跳ね上がったのは「千の風になって」効果かと思いましたが、去年からNHKのカメラが入って全国ニュースで流れるようになったせいかもしれません。

 さて本選ですが、さすがに二回の予選を突破しただけあってどなたも熱演で聴き応えありました。ただ妙に暑かったせいもあってお一人が演奏の途中で体調を崩して棄権。貧血を起こされたそうです。あれだけの難関の二次予選を通過したのにお気の毒でした。去年も感じたのですが、二回の予選と本選を全部ベストコンディションに保つのは本当に大変そうです。
 最近はとにかくレベルが高いので一次も二次も甘く見ていると落ちてしまうから手は抜けません。かといってそれでエネルギーを使い果たしてしまっては肝心の本選で実力を発揮できなくなってしまいます。今回は二次予選が激戦だったので、きっと落ちてしまった方の中にも、本選に照準を合わせて本選用の曲を重点的に練習していた方が大勢いたに違いありません。そのへんのペース配分がとても難しいと感じました。

 作曲家の立場から感想をひとつ。自由曲の選曲は一次より二次、二次より本選と、だんだん大きい作品を選んでいってほしいなと思うのですが、一次も二次も本選も同じような小曲を歌う方が多いのはちょっと意外でした。もちろん一次では単曲で、本選では曲集全部を歌うのですが、小曲集で聴き手の集中力を引きつけ自分の能力も全開するってかなり難しいのではないでしょうか。もちろんそれが出来ていた方もいましたが、へたすると少々物足りなさを感じてしまう。長い曲は覚えるのも構成を組み立てるのも大変ですが、本選に残るほどの人なら、普通の演奏会では手を出さないような大作を聴かせてもらいたいなあ、などと考えました。別に難解な現代音楽を歌えということではなく、骨格の大きい曲をどう組み立てて歌うかを聴かせてもらえたら面白いのになあと思いました。

 では結果発表!声楽部門晴れの第一位に輝いたのは与那城(よなしろ)敬さん。既にオペラでも活躍なさっている方ですが、若々しい美しいバリトンで表現力もあり、本選では故・石桁真禮生先生(私の師匠)の名作長編歌曲「鴉」を歌って見事な存在感を示し、文句なしの栄冠に輝きました。
 二位は小松由美子さん。渋い選曲を円熟した表現力で聴かせました。シニアで本選入賞はコンクール始まって以来の快挙だそうです。これから長く歌を勉強していこうという皆さんにとって大きい希望になることでしょう。
 三位は金子美香さん。メゾ・ソプラノの艶やかな声がとても魅力的、表現力が豊かで音色のパレットも豊富、今後の活躍が楽しみな方です。
 入賞は逃しましたが、奨励賞の崔 宗宝(さい・そうほう)さんもすばらしい美声で、2回の予選で既にファンが生まれたようで、会場から大きい拍手を浴びていました。外国の方なので日本語の発音がやや不利でしたが、アピール力は素晴らしかったと思います。
と、自分のブログなので好き勝手に書いてみました。あくまで一作曲家の感想です。

 そうそう、作曲部門も全部聴こうと思ったのですが、遅刻して半分しか聴けませんでした。残念。入賞の皆さんおめでとうございます!後半私が聴けた中でいくつか面白いなあと思った曲があったのですが、残念ながら入賞は逃したみたいです。入賞した人はそれを励みにさらに活躍してほしいし、入賞しなくてもそれほど絶望することありません。作曲の場合は演奏ほど共通の評価基準があるわけではないので、受けた評価を謙虚に受け止めつつ、あくまで自分を信じて作曲し続けていただきたいと思います。特に「歌曲」はいい歌い手とさえ出会えればお金をかけずにどんどん発表できるジャンルなので、全員に将来のチャンスがあると思います。がんばってください。

人気blogランキングへ