2008/3/29 | 投稿者: KINOSHITA

 きのうは上野の旧東京音楽学校の奏楽堂で東京室内歌劇場のコンサートがありました。声楽家たちが歌曲とアンサンブル両方やってしまうという面白い試み「日本歌曲・アンサンブルの楽しみ」シリーズの第六回。5回までは、ひとりの作曲家に焦点をあて、その歌曲と合唱曲を取り上げました(私も第四回のとき特集していただきました)が、今回のテーマは詩人の「谷川俊太郎」。谷川俊太郎氏のテキストには多くの作曲家が曲をつけていますが、私にはやはり林光さんのイメージが強いですね、歌曲にせよソングにせよ。昨日は私の新作[父の唄」も初演され、松井康司さんがすばらしい歌を聴かせてくださいました(共演 Sax.彦坂眞一郎さん、Pf.東井美佳さん)。
 後半はアンサンブル。きのうの圧巻は吉岡弘行氏のアカペラ曲集「十ぴきのねずみ」。これは洒落たユーモラスな内容ですが技術的に超絶技巧なので、素晴らしい作品なのになかなかいい演奏にお目にかかりません。音もリズムも難しいだけに、歌劇場の皆さんもこの作品には時間をかけたのでしょう。他の作品よりテンションが一段アップ、ソロとアンサンブル両面が見事に生きたエキサイティングな演奏となりました。特に男声陣の魅力が爆発してました。満員のホールも大盛り上がり。最後は鉄腕アトムのテーマソングで締めるという、とても楽しいコンサートでした。

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 ホールへの行き帰りは上野公園を通ったのですが、行きは寒く雨も降る中、ぼんぼりの明かりの中で桜が満開でした。帰りは雨はやんでいましたが、ぼんぼりの明かりが消えて真っ暗なため桜もほとんど見えず残念。

2008/3/28 | 投稿者: KINOSHITA

 3〜4月にアカペラ曲集と歌曲集を書く予定だったのですが、とにかくテキスト選びに苦労しています。特に合唱の場合テキストはほとんど好きな詩を使ってしまったせいか、いくら探してもコレ!という一目惚れする詩に出会えません。たくさん存在しているはずなんですが・・。結局アカペラはヴォカリーズでいくことにしました。
 歌曲集は詩選びに悪戦苦闘しながらも、なんとかチクルスにできそうなテーマが決まってきました。最初は訳詩だけで行こうと思ったのですが、訳詩の新しいいいものって案外出ていないんですよね。アンソロジーで可愛い絵本になっているようなものは時々ありますが、それすら意外なほど早く市場から消えてしまって図書館にも残りません。
 クリスティナ・ロセッティなどいい訳があればいくらでも読まれそうに思うのですが、最近編まれた訳詩集はないようです。古いものなら岩波文庫の入江直祐さん訳の詩抄が復刊されましたし、中村千代さんの訳詩も国会図書館でマイクロフィッシュ保管されているものをコピー(ちゃんと合法で)させてもらいましたが・・どちらも名訳で格調高い文語で書かれていて文学的価値は高いですが、曲をつけるのにはちょっと難しすぎる。訳詩にはある意味寿命があるように思います。時代ごとのいい日本語で書かれた訳が欲しいです。

 そんなことで最近ずっと作曲よりテキスト選びで大型図書館や都立図書館、国立国会図書館など出掛けては一日詩選びしていたのでもう疲労困憊です。港区にある都立中央図書館にいったら、全集は多いものの普通の詩集などはほとんどなく、そういうものは多摩図書館に移転したとのこと。でも多摩図書館に行ってもほとんど閉架でしかもネットで検索してもそれほど多く引っかかってきません。

 しかたないので永田町の国立国会図書館まで探しに。
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こちらも古いものはマイクロフィッシュに保管されていて読めるのですが、意外なほど新しい(昭和期の)詩集が少ないように思いました。今夥しく出版されている本も、もしかしたら全然後世に残らないのでは・・。国会図書館は新館ができてコンピュータもたくさん導入されたのですが、もとは一回四冊まで閲覧させてもらえたのに今は一回三冊までなので、待ち時間の長さにぐったり。係員の方が大勢いて親切にいろいろ教えてくれるしコンピュータも多いのですが、それにしては効率が良くないような気がしました。私が図書館というものに慣れていないだけなんでしょうか。

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国立国会図書館の向かいは国会議事堂。横から見た図。

2008/3/20 | 投稿者: KINOSHITA

 レコーディング、内視鏡検査、講習会と一応無事に終了したので、17日月曜日に友人の声楽家TさんとピアニストNさんと三人で梅見に出掛けてきました。特にこのところ胃が痛かったので内視鏡検査はかなり真剣でしたが、慢性の胃炎で一安心。これからは胃炎が悪くならないよう、締切があってものんびりと、人生を楽しむことを優先にしよう、ということでさっそく行楽して参りました。
 3人で出掛けた先は吉野梅郷(ばいごう)。 JR青梅線青梅駅で「奥多摩行」に乗換え、日向和田(ひなたわだ)駅で下車、そこから10分くらい歩いたところ全体が吉野梅郷で、その中心が「青梅市梅の公園」。
 平日の午前中というのに、公園は人でいっぱい。でも回りからは「今日は空いているねえ」といった声が聞こえてきたので、土日などは物凄い混雑を覚悟したほうがよさそうです。

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 ここは山の斜面を利用して120品種、1,500本の梅が植えてあって、山全体が色とりどりの梅林で大変見応えがあります。私たちが行ったときは6〜7分咲きくらいでしたが、たぶん今週末あたり満開になったら、さぞ美しいのではないかと思います。

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 公園を出て今度は町を散策。四方を低い山が取り囲んでいて、やっぱり自然はいいよねえ、と見上げたら目に入ったのはなんと杉林!しかも肉眼でもはっきりわかるほど一面に花粉を持っていて表面が茶色くなっているのにぎょっとする私。今年は花粉が飛ぶ量が多いというわりに症状が軽くて安心していたのですが、町中杉林に囲まれているような地形で花粉攻撃にあい、今年初めて花粉症が大爆発しました。
 歩いているうち、だんだんくしゃみが激しくなってきて、目はかゆくなるし、鼻もむずむずして詰まってしまうし、熱っぽく頭がぼうっとしてくるしで、後半の記憶がないくらいひどい症状になってしまいました。せっかくの梅見が台無し。やっとのことで東京に戻って来たら症状はうそのように治まってしまいました。
 もっともちゃんと花粉症の薬を飲んでいるNさんは数回くしゃみが出た程度だったので、私が無防備すぎたようです。
 吉野梅郷へお出かけの花粉症の皆さんは、最初にちゃんと薬を飲んだり注射してから行かれることをおすすめします。

2008/3/19 | 投稿者: KINOSHITA

 15日はご近所の医院で早朝、内視鏡検査を受けた後、午後から恵比寿の合唱センターに出掛けてきました。私の講座ではなく、声楽家の河合孝夫氏が半年に渡って行ってこられた『合唱アンサンブルの発声テクニックをマスターする〜体系的なトレーニングシステムを通して」という講習会の第六回・最終回にゲストとして呼んでいただいたものです。
 発声テクニックと日本語の発音をつなげて考えることは非常に大切なことなのですが、合唱では今まで、この考え方がほとんど行われてこなかったと思います。日本語というと『気持ちをこめる」のひと言で済ませることが多すぎたように思います。
 舞台上の日本語というのは、しゃべる発声とは全く違うものです。演劇の場合も舞台発声のきっちりしたメソッドがありますが、クラシック発声で歌うときには更によく考えないといけないのに。
 ということで今回、発声の講座の最後に「いい声でわかりやすい日本語を歌う」ための講習が組まれたのは、画期的ともいえて、私もゲストとして参加しながらとてもいい刺激を受けました。

 まず、音取りがざっと出来ている状態で日本語を載せて歌ってもらったところ、日本語は「シラブル」に解体されほとんど言葉として聴こえない上、シラブルごとに気持ちを切るのでフレーズの流れが全くなくなり、せっかく勉強した発声も途端に地声になってしまって、どうしていいかわからない状態。
 次に母音Aで歌ってもらったところ、発音は戻って音楽の流れも感じてもらうことができました。その後、歌うときの発声で詩を朗読したり、言葉を載せて音をGに固定して歌ったり、単語のまとまりを感じて歌ってもらったり、単語の強さと高さの違いを感じてもらったり。休符のときの意識の持ち方を変えていただいたり。時間はあっという間に経ちましたが、最後のほうは、美しい発声で、言葉も明確でまとまりのあるものになり、フレーズの流れも出て、最初の演奏とは別団体のようなレベルの高い演奏になりました。

 私は作曲家なのでどうしても言葉で説明するだけになりがちですが、今回はメイン講師の河合先生が発声上のフォローをしてくださりながら、とにかく具体的に、参加者に何度も演奏してもらいつつ、いろいろなアプローチを試してくださったのが大変効果的だったと思います。
 発声と発音、それに作品解釈を同時に、発声の専門家と作曲家というそれぞれのプロのキャッチボールで講習をするというのは、とても面白い効果的な方法のように思いました。合唱センターには、こういう試みを今後もぜひ行ってくださるようお願いしたいと思います。

2008/3/18 | 投稿者: KINOSHITA

 最近ラジオでしょっちゅう「鼻から内視鏡」という宣伝をしていて、こんな医学専門機材のことを一般に宣伝してどうするのかと思っていたのですが・・。
 ここ半年くらいずっと胃が痛かったので、レコーディングが無事終了した翌朝、内視鏡検査をしてもらいに出掛けてきました。看護婦さんから、のどからと鼻からとどちらがいいか聞かれ、「鼻から」と即答してしまった私は、やはりラジオの宣伝に洗脳されていたのでしょうか。

 病院に行くとき(滅多に行かないので数年に一度)は大学病院にいくことが多かったのですが、どこも異常に混んでいて、朝行っても薬をもらって帰るのは夕方になってしまうのに嫌気がさし、今回はインターネットで調べて、消化器系の専門医で「内視鏡」の検査をしてくれる個人医院を探し出して出掛けてきました。朝8時半くらいに行って、即検査してもらい、少し待ってすぐ先生の診察があり、薬は近くの薬局で調合してもらい、全部で一時間くらいで終了してしまいました。なんだ、近くの診療所ならこんなに早く対応してもらえるんですね、これからは優秀な個人医院を探して行くことにしょう。

 今回の先生は「鼻から内視鏡」を取り扱う専門医とのことで、とてもスムーズに検査していただくことが出来たのですが、「のど」から入れるのと比べて楽かと聞かれると、う〜ん。検査のときは麻酔が効いていて痛くないのですが、切れてくると微妙にずきずきと。でも他の人は全然痛くないというので、私の神経が過敏なのかもしれません。
 内視鏡を入れると即、食道、胃、十二指腸の内部の様子が鮮やかな色彩でくっきりモニターに映し出されて、先生と一緒に見ることができるのにびっくり。昔「ミクロの決死圏」という映画がありましたが(古い!)、自分で自分の内蔵をこんなに鮮明に見られる時代がくるとは思いませんでした。カメラのついた管をぐいぐい突っ込みながら、「ほら、ここから出血しているでしょう、ほら、ここからも」と言われて見ると、本当に胃のいろいろな所から出血していて青ざめましたが、ポリーブは一つもなく、結局慢性の「表層胃炎」とのこと。こういう表層の傷が一番はっきりした『痛み」の症状を伴うそうです。
 そんなことで深刻な病気でなくて一安心。出掛けるときは緊張しつつタクシーで行ったのですが、帰りは薬局でお薬を受け取ったあと30分くらいかけてのんびり歩いて帰ってきました。

2008/3/16 | 投稿者: KINOSHITA

 昨年後半は吹奏楽の録音が2回続きましたが、今回は歌曲。13,14日と、府中の森芸術劇場ウィーンホールでレコーディングが行われました。声はダイナミックレンジが広いのでただでさえバランスが難しいのに、今回はそれぞれ魅力の異なる歌い手の方が3人、しかも中の一曲集はピアノとサックスの共演というとりわけバランスの難しい編成だったので、2日間で何度も立ち位置やマイクの立て方などを変えなくてはならず、スタッフの皆さんはさぞ大変だったと思います。幸い経験豊富な敏腕ディレクターF氏とエンジニアI氏、H氏のおかげで、どの作品もとてもいい響きとバランスに録れました。編集が仕上がるのがとても楽しみです。

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 今回録音に使った府中の森芸術劇場ウィーンホール。天井の高いゴージャスなホールで響きが素晴らしく、演奏者の皆さんも歌っていて気持ちがいいとおっしゃってました。ただ、ミキシング・ルームは地下に作られたのですが、階段を四回分くらい降りなければならないほど深くて、足ががくがくになりました。一回テイクを録ると必ず演奏者の皆さんにも聴いていただいたのですが、全部で11曲ピアノを弾いてくださった小原孝さんには、20回以上も上がったり降りたりしていただいたことになります。小原さん、疲れさせてしまってごめんなさい。

 最初に録ったのはバリトンとサックスとピアノのための歌曲集「父の唄」(仮)。珍しい編成なのでバランスはエンジニアの方にお任せしたのですが、松井さんの柔らかいバリトンと彦坂氏の魅力的なサックスの音色がうまくブレンドして大満足。この作品集のみ新曲で、それほどお三方で合わせていただく時間がなかったのですが、本番ぴったり決まるのはさすがです。正式初演は今月の28日に旧東京音楽学校奏楽堂(午後7時開演)で行われます。

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東井美佳さん(pf)松井康司氏(bar)彦坂眞一郎氏(a.sax)

 次の作品は「C.ロセッティの4つの歌」。これは合唱版もあるのですが、ドラマチックなので声楽版のほうが人気があるようです。神野靖子さんと小原さんの名コンビでこの曲集をもう何度も演奏会で歌ってくださっていて、ぜひCDに残しておきたいと思いました。その美声と豊かな表現力をぜひ多くの皆さんに聴いていただきたいと思います。

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神野靖子さん(sop)と小原孝さん(pf)

 そしてもうひとつが歌曲集「晩夏」。これは初演から10年くらい経つのですが、とても難しい曲集なので今まで全曲通して演奏してくださる人がほとんど現れませんでした。でも作曲者からすると、初めて書いた歌曲集として愛着があるだけでなく曲の質も高いと信じているので、今回もっとも信頼する歌い手のお一人、野崎由美さんにお願いして歌っていただくことにしました。7曲あってそれぞれ凝った難しい曲なのですが、緊張感のある素晴らしい演奏になったと思います。

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小原孝さん(pf)野崎由美さん(sop)

 三曲集とも雰囲気が異なるので、変化に富んだ歌曲集になると思います。録音は無事終了しましたが、リリースはたぶん秋ごろになるので、そのころまたご報告します。

2008/3/4 | 投稿者: KINOSHITA

 いつも持ち運んでいた旧Macの調子が最近悪くて(旅で何度も落っことしたから・・)このところ旅に持参しなくなったので、帰宅して疲れを取ってから更新するとタイミングがずれてしまいます。

 というわけで、2日は松本市音楽文化ホールでパイプオルガンと混声合唱のための『光はここに』初演が大成功のうちに終わりました。一週間前と本番前日に2度きっちり立ち会って、指揮の中村雅夫さんとオルガニストの保田紀子さんとのコミュニケーションもばっちりだったので安心はしていましたが、当日公募合唱団の皆さんは予想を上回る素晴らしい演奏をしてくださって、本当に充実した初演になりました。ホールも満員盛況で大いに盛り上がり、私としても委嘱をお受けした責任を果たすことができました。中村さん、保田さん、合唱に参加してくださった皆様、初演どうもありがとうございました!
 曲の仕上がりがかなり遅くなって、練習時間直前にできた楽譜をホール事務局にPDFファイルでお送りし、急いでコピーしていただいたりもしました。事務局の責任者Sさんはじめホール関係者の皆様、大変お世話になりました。

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初演は撮れなかったので、G.P.のあとのミーティング風景。

 全6章、譜面はシンプルですが音楽的にはかなり難しく、深い心の世界を描いたつもりです。私はクリスチャンではないので、典礼文でない自然な日本語による祈りの作品を書きたいとずっと思っていましたが、それを果たすことができたと思います。

 初演後、最終のあずさで帰ることもできましたが、ちょっと疲れていたので、打ち上げに顔を出したあと、ホテルに泊まって翌日のんびり帰ってきたら疲れが少し取れたようです。写真はあずさの車窓から見た信州の山。

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次は温泉につかりにのんびり伺いたいものです。