2008/9/27 | 投稿者: 木下牧子

 作品展3「室内楽の夜」無事終了しました。おかげさまで津田ホールが満席となり、ものすごく盛り上がりました。私の尊敬する日本を代表するプレーヤーの皆さんに演奏をお願いした甲斐あって、どのステージも素晴らしく密度の濃い演奏となりました。

 一曲目は柴田美穂さんのピアノソロ「夢の回路」、超絶技巧をばりばり弾きこなしつつ、構成感、フレージングとも見事で、曲の全体像がくっきり浮かび上がる名演でした。この組曲は自分ではとても気に入っているのに、作曲して20年もの間お蔵入り状態でずっと不遇でした。昨年全面改訂して以来CD録音、出版ときて、素晴らしい生演奏を皆さん聴いていただけてうれしいです。一曲目で客席が音楽に集中してくれたのがわかりました。

 二曲目「ヴォカリーズ」は佐竹由美さんの美しいクリスタル・ヴォイスとユニークな編成のアンサンブル(hp.早川りさこ、vc.銅銀久弥、perc.竹島悟史の各氏)との繊細にして密度の濃い音楽で、佐竹さんのリサイタル以来これで4度目の演奏となります。すっかり彼らの音楽となっていて安心して聴きました。それにしても超絶技巧をいつも楽々と楽しげに歌いこなしてくださる佐竹さんには脱帽です。
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左からvc.銅銀、hp.早川、sop.佐竹、vib.竹島の各氏。
まだ演奏会本番の写真が手に入らないので、ゲネプロの写真

 三曲目はクラリネット、ヴァイオリン、ピアノのための「ねじれていく風景」。これも初演、再演、レコーディングに続いて4度目の演奏ですから、もうお任せ状態。武田忠善さんの見事なクラリネット、瀬川光子さんの華やかなヴァイオリン、柴田美穂さんの安定感のあるピアノの息もぴったりでした。かなり難しい楽譜ですが、演奏の素晴らしさのおかげで会場で楽譜が意外に売れたようです。

 後半一曲目はフルートと打楽器のための「夜はすべてのガラスである」。間部令子さんのフルートの特殊奏法の演奏がとても魅力的なので、彼女を想定して書いた曲で、昨年現音アンデパンダンで初演されました。今回は打楽器の村居勲さんとのコンビも二度目で、両者とも気迫の籠った緊張感のある演奏を聴かせてくれました。ハーモニーを伴わない点でも、特殊奏法を多く使っている点でも私の曲としては異色といえるかもしれません。

 二曲目は「ふるえる月」。これはCDタイトルにもなっていますが、多くの皆さんに評価をいただいている曲です。三台のヴィブラフォン(西久保友広、横田大司、小林巨明の各氏)の重層的な響きとそれに対峙するマリンバ(村居勲氏)がうねうねと息長く盛り上がっていく曲ですが、今回は今まで聴いた演奏の中で最も響きのバランスがよく、流れの作り方も理想的で、大変完成度の高い演奏となりました。うれし〜。
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左からmar.村居、vib..小林、横田、西久保の各氏
やはりゲネプロの様子です

 プログラム最後の「打楽器コンチェルト」だけ新曲で、この作品は本番三日前にやっと完成しました。といっても仕上がったのがぎりぎりになっただけで、実は6月から4ヶ月も費やして作曲しました。途中同時並行でいろいろな作品を書いていた上、9月上旬が思いのほか外出が多く、おまけに新歌曲CD「ロセッティの4つの歌」のリリース準備(編集やジャケットデザイン打ち合わせ、ブックレットのための原稿書きなど)と重なって、9月後半はソファで仮眠状態に突入しましたが、おかげさまで無事書き終わりました。

 忙しいプレーヤーの皆さんが本番直前の2日間たっぷり時間を取って練習してくださって、5人の息を合わせバランスを調整してくださったため、本番は余裕の演奏でした。徐々に意識を高めていき本番で最高の状態に持っていく、というプロの凄さを見せてもらいました。私にしては久しぶりにリズム躍動炸裂!という作品で、ソロの菅原淳先生と4人のアンサンブル(西久保友広、横田大司、村居勲、小林巨明の各氏)の息もぴったり。音楽に積極的に乗ってくださって、ものすごくエキサイティングな初演となりました。菅原先生のソロ、ほんとに素晴らしかったです。本番は皆さん黒いタキシードで格好よく、菅原先生の赤いポケットチーフがとても効いていてスタイリッシュでした。
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 左からソロ菅原、アンサンブル.小林、横田、村居、西久保の各氏。写真では鍵盤打楽器に隠れて見えませんが、トムトムやスネア、ウッドブロックやギロ、ビブラスラップなど多種使いました。これは前日リハーサルの写真です。演奏会の写真が手に入ったらまた掲載させていただきます。

 作品個展というのは皆さんの想像以上に非常に負担が大きいのですが、でも今回開催して本当によかったと思います。お忙しい中、会場にお出かけくださった皆様、どうもありがとうございました!お花やプレゼントもたくさんいただきました。ありがとうございました!
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いただいた花束やアレンジメントの一部です。
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2008/9/21 | 投稿者: 木下牧子

 26日初演予定の打楽器アンサンブル作品の最終楽章の最後の2ページのスコアが今日やっと仕上がりました。ただちに荻窪郵便局に出しにいってきました。23区内で出した方が何となく早く目的地に着きそうなので・・。あさってから練習の立ち会いが三日間続き、そのまま演奏会当日に突入するので、ぎりぎりセーフでした。もっとも三楽章構成なので、先月末あたりから一楽章できるごとに演奏家の皆さんにお渡ししてはあるんですけどね。最後の一楽章が計画より長くなってしまったのと、9月前半外出が多くてなかなか作曲に集中できなかったのが痛かったです。とにかく仕上がってよかったよかった。

 ただ三楽章のパート譜作成が残っています。明日の午後5時までに5パート作成しなければ。Macでスコアを作成しているので、パート譜出力は楽に素早くできると思われがちですが、実はそうでもなくて、きれいに浄書するにはある程度時間がかかってしまいます。もうひとがんばりです。

 それからチケットのことですが。前回、前売りでご購入いただいたほうが無難と書きましたが、プレイガイドとマネジメントでの前売りは昨日で終了してしまいました。ごめんなさい。でも当日券は出ますので、前売りでご購入いただけなかった場合は当日直接ホールまでおでかけ下さい。おかげさまで大勢の方にお越しいただけそうですので、チケットをお持ちの方も時間に余裕を持ってお出掛けくださいますようお願いします。

2008/9/18 | 投稿者: 木下牧子

 新作はなんとか峠を越えた所です。なっかなかいい感じになってきました。本番くる前に仕上げねば!ということでブログの更新をしている場合ではないんですが、演奏会のご案内をもう一度やっておこうかと思いまして・・・。
 今月26日午後7時から、津田ホールです。何度もお知らせをすると、チケットが売れていなのかとご心配いただきそうですが、皆様のおかげでかなり良く出ています。聴きにいこうかな〜とお思いの方は前売りでご購入いただいておいたほうが安全かもしれません。それから、チケット既にお持ちのかたも、良い席のためには、なるべく早めにお出かけください。よろしくお願いいたします。

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9/26(金)木下牧子作品展3「室内楽の夜」

 実はもうひとつ演奏会があるんです。私の個展の一週間あとに、ムジカ・アルブルという団体が「木下牧子展」という私の作品だけの演奏会を企画開催してくださいます。タイトルが似ているし開催日が一週間違いなので、両者を混同するといけないと思って、今までなかなか宣伝できなかったのですが、そろそろ大丈夫でしょう。

 ムジカ・アルブル主催「木下牧子展」は自主作品展『室内楽の夜」よりは柔らかめの内容で、器楽曲と声楽両方がプログラムされています。女声合唱曲集「花のかず」「ファンタジア」という新旧2作、歌曲集「秋の瞳」、ピアノ組曲『夢の回路」、連弾「やわらかな雨」より。それに私の最初期のサクソフォン4重奏曲「アンダンテとカプリチオ」といったなかなか面白いプログラムです。サクソフォン四重奏はとてもオーソドックスで上品!で洒落た曲です。今だとこんなにのびのびした曲は書けません。ぜひ皆さんにもお聴き頂けたら嬉しいです。先日練習に立ち会いにいったのですが、演奏者は皆さん若手ですが名手揃いで驚きました。
 10月3日かつしかシンフォニーヒルズ モーツアルトホールです。チケットは前売り¥3,000。お問い合わせはムジカ・アルブル(04-7154-1679)まで。

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10/3(金)ムジカ・アルブル主催「木下牧子展」


2008/9/15 | 投稿者: 木下牧子

 26日の作品個展まであと10日になってしまいましたが・・。まだ曲が仕上がりません。う〜ん、う〜ん。あと一週間でがんばりたいと思います。三楽章の変化に富んだ面白い曲だと思うのですが・・早く仕上げないと。

 そんなあせりまくった気分で、12日は野崎由美さんのソプラノリサイタルに出掛けてきました。野崎さんの委嘱による木下歌曲集「古風な月」の初演を聴きにいったのですが、これはお世辞抜きに完成度の高い素晴らしい初演でした。5篇からなる曲集なのですが、それぞれの曲の特徴と構成をとてもよく掴んだ演奏をしてくださり、声も充実していて嬉しかったです。小原孝さんのピアノもいつもながら表情豊かで立体的で野崎さんとの息もぴったり。7月末にねじり鉢巻で作曲していた曲集が、早くもこういう立派な初演により世に出るなんて作曲家冥利に尽きます。お二人に心から感謝したいです。

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終演後のSop.野崎由美さんとPf.小原孝さん。

 今回私は信頼する声楽家の皆さんを大勢お誘いしていたのですが、終演後、楽譜が出たら歌いたいと言って下さった方が多かったのがとても嬉しかったです。たぶん来年4月くらいには出版されると思います。
 ソプラノ佐竹由美さんも超多忙の中聴きにきてくださって、おいしいお菓子の差し入れまでいただいて感激。「栗きんとん」という名前ですが、これはもう栗そのままのホコホコしたおいしさで、一口でファンになってしまいました。

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さて作曲、作曲。
    

2008/9/9 | 投稿者: 木下牧子

 お久しぶりです。いま家にいるときは一日中作曲しています。しかし出掛ける用事もあり8月末には四国の徳島、つい先日は大宮で久しぶりに合唱コンクールの審査をしました。オペラの作曲の年に一年間休んで以来、審査よりは講評とか講演のお話を優先的に受けるようにしています。特にこの数年は作曲量が多く家では一日中座っているため、他の仕事くらい立ったりしゃべったりしたい、というのが主な理由なのですが。

 久しぶりの合唱コンクールはどちらも相変わらずレベルが高く素晴らしかったです。が実力伯仲すぎて順位をつけるというのが難しく頭が痛くなりました。そしてすさまじく評が割れました。難しい楽譜を正確に演奏するという点ではレベルが上がってほとんど差をつけられなくなっています。更に一歩進むためには、「日本語の発音」と「発声」と「フレーズ」について考えざるを得なくなってきています。でもこの話題をじっくり語る時間が今はありません。作品個展が無事終ったらまた考えてみましょう。

 今日は演奏会のお知らせをひとつ。

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 9月12日(金)午後7時開演 東京オペラシティリサイタルホールにて「野崎由美ソプラノ・リサイタル」が開催されます。野崎さんはもうすぐリリースになる私の歌曲CDにも出演くださっている方で、特に日本歌曲においては抜群の実力です。その野崎さんの委嘱で書いた新作歌曲集「古風な月」が初演になります。

 中原中也、北原白秋、島崎藤村、立原道造、それに新美南吉によるさまざまな美しい「月」の詩5篇をテキストにした歌曲集です。やさしい歌やミステリアスな曲、メルヘンの物語や幻想的な響き、など5篇それぞれに変化に富んだ世界が展開します。26日の室内楽作品展とは違って、全部調性のはっきりした曲ばかりです。アンコールにちょっと意外な曲もお聴き頂けると思いますので、歌好きの皆さんはぜひお出かけください。