至福の時

2010/1/13 | 投稿者: 木下牧子

 11日の成人の日に紀尾井ホールで「至福の時」という演奏会がありました。ソプラノ・佐竹由美さんとN響メンバーの皆さん(早川りさこさん(hrp)銅銀久弥さん(Vc)竹島悟史さん(perc))による珠玉のアンサンブル「OKYU-Z」結成5周年記念コンサートです。

 4年前にここの委嘱で書いた「ヴォカリーズ」や「抒情小曲集」も今回再演して下さったのですが、両作品とも何度も再演されているので、既にメンバーの皆さんがすっかり音楽を自分のものにしてくださっていて、のびやかで瑞々しい演奏となりました。初演だと作曲者も緊張してぴりぴりしたりするのですが、今回は心底リラックスして演奏を楽しむことができました。作曲者冥利に尽きます。
 
 そして今回の5周年コンサートの目玉は、あの池辺晋一郎先生による委嘱作品「なんにも書かなかったら」。池辺先生といえば、今年6月初演の新国立劇場委嘱オペラ「鹿鳴館」の作曲大詰めでものすごくお忙しいはず…。
 なのに作品はそんな緊迫した状況を全く感じさせない、のびやかなユーモアとパワーに溢れた作品でした。打楽器の使い方が変化に富んでいて楽しく、ハープとチェロはシンプルな音型を効果的に刻むことではっきりと音色が立ち、ソプラノは無調性の現代的な動きで、テキスト(中原中也)の言葉のニュアンスを見事に表現していました。佐竹さんのテクニックも冴えまくって場内大盛り上がりでした。

 メンバーのお一人、竹島さんの作品も演奏されたのですが、美しくてスケールの大きい堂々たる曲で演奏も情感たっぷりでした。こういうユニークな編成だとオリジナル曲がとても面白くなりますね。後半は有名なクラシックのスタンダード・ナンバーを中心に、心癒す佐竹さんのクリスタル・ヴォイスを堪能しました。一年の初めにこういう素敵な演奏会で自作を演奏してもらえるとは、今年はいいことありそう。
 
クリックすると元のサイズで表示します

 コンサートのあとは、聴きにきてくれた友人たちと新年会をかねてホール近くのカフェに移動し、音楽よもやま話…現代日本プロ・オケ経済事情などについていろいろ興味深い話を聞いたりしました。それにしても紀尾井ホールからオー・バカナル(カフェ)に向かう大通りにたくさん入っていたブランド・ショップが全部店じまいしていたのには愕然。少し前まできらびやかなショーウィンドウが続いていたのに全部シャッターが降りていました。オケだけでなく、どこも不況は深刻そうです。



トラックバックURL

トラックバック一覧とは、この記事にリンクしている関連ページの一覧です。あなたの記事をここに掲載したいときは、「記事を投稿してこのページにお知らせする」ボタンを押して記事を投稿するか(AutoPageを持っている方のみ)、記事の投稿のときに上のトラックバックURLを送信して投稿してください。
→トラックバックのより詳しい説明へ