昨晩、早稲谷地区の臨時総会が急きょ開かれました。議題は下水道整備をどうするか。実は2年前に農業集落排水事業という農水省管轄の下水道整備事業が、早稲谷地区で行われることが決まっていました。10年以上前から町に陳情していた悲願の事業でした。ところが蓋を開けてみると参加同意する(=下水道を家に引き込む)家が予想以上に少なく、事業進行に支障が出てきたのです。(農水省では加入率は地区戸数の90%以上を最低ラインとし、それを下回ったところでは毎年その理由と改善案の提出を要望される) 理由は明白。新たに下水道を引き込むのに、改築費も含めると100万円以上の自己負担が生ずること。多くの家が後継ぎがいないのに、そんな負担を今更負いたくないという現実。(実に48戸の内、60歳以上のみの世帯は26戸、集落人口に対する高齢化率は56%だそうです)
結局数時間の話し合いの末、この事業を辞退することとなりました。早稲谷は町の水源地ですから、下水道普及による水質保全は重要なことです。しかしそれに答えるには厳しすぎる現実がここにはあります。ちなみにこの事業が行われれば事業費の総額は何と3億円弱。これにさらに市による維持管理費用が施設稼動後に発生します。仮に下水道ではなく、全戸に合併浄化槽を入れればその費用総額は3500万円程度だそうです。(浄化槽1基あたりの設置費用100万円×50戸×市補助率7割、保守・管理維持費は個人負担。もっとも浄化槽でも個人負担の額は下水道とほとんど変わらず、浄化槽が普及する可能性も低い。)
多分いったん採択された事業を自ら辞退するのは前代未聞のことでしょうが、税金を効率よく使ってもらうためにも、これは正しい選択かと思いました。また誰が見てもムダと思える公共事業の多くがひとたび動き出したら止まらない事例が多いことを考えれば、この判断は悪いことではないですよねえ。

0