昨年12月、国会で有機農業推進法が成立しました。先日参加した「農を変えたい全国大会」でその内容や今後の課題について聞いてきましたので、ちょっと触れたいと思います。
有機農業という言葉は、食料増産という合い言葉のもと国が押し進めていた農薬や化学肥料多投の農業に疑問を持った人たちが、1970年ごろ日本有機農業研究会を発足させた時に初めて誕生しました。それまでは有機農業という言葉はもちろん概念もはっきりしたものはありませんでした。それ以来、有機農業実践者たちは国の政策とは一線を画し、常に異端児扱いを受けてきたのです。(それは有機JAS法が施行されても変わることはありませんでした。)
では今回の法成立が何を意味するか。条文第一条に「この法律は、有機農業の推進に関し、基本理念を定め、並びに国及び地方公共団体の責務を明らかにするとともに、(以下略)有機農業の発展を図ることを目的とする」とあります。つまりこれから国や地方自治体は有機農業を一生懸命やれと言っているのです。まさに国の農政の大転換を意味します。この法律の面白いところは、個人にではなく、国や地方公共団体に有機農業推進の責務を求めていることです。ここからも判るように、この法律は農水省主導ではなく、実は議員立法で成立しました。有機JAS法や環境保全型農業を一応進めていた農水省でしたが、その効果がさっぱりあがらず、環境や農業問題の行く末に危機感をもった議員たちがしびれを切らして国の農政の大転換を迫ったのです。
そんなわけですから農水省は大混乱のようです。この法律自体は有機農業の理念しか触れておらず、具体的な推進策はこれから検討することとなります。そこで今年度中をめどに基本方針を作成しているようですが、何しろ有機農業について全くといって良いほど眼中になかったお役人たちにとって、これはまさに晴天の霹靂。どうしたらよいか判らないらしい。現在、全国有機農業団体協議会(有機農業を実践している団体の全国組、以下全有協)が中心となって、実践者としての経験を踏まえた意見をパブリックコメントとして発信し、基本方針に反映するよう動いているようです。この基本方針ができると、今度は全ての都道府県で、これに基づいて推進計画が検討されることとなります。
基本方針についてはもう時間的に余裕はなく、また全有協の方々がフォローしてくれているので心配はありませんが、今後各県で作られる推進計画については、しっかりと実践者の意見を反映してもらうよう各々頑張らねばなりません。特に有機農業は生産技術はもちろん販売・消費等も、それを行う土地柄や風土によって変わってくるのです。ですから我々実践者が推進計画策定の時に、現状・課題をはっきりと県に伝え、計画に反映されるよう努力しなければならないということを、今回の全国大会で語られていました。お隣り山形県では有機農業者が集まって県に提言できる体制がすでに出来上がっているそうです。あいにく福島県は、有機農業をやっている方は多いのですが、意外とまとまりがないらしい。せっかくこの場に参加したのだから福島をまとめるように頑張りなさいと周りから発破を掛けられてしまいました。(滋賀まで行った人は福島からは数人しかいませんでしたから)
長くなるので以下次回
春の香り、あさつきです。やっぱり美味い!

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