いま盛んにテレビのCMに流れています、「地域水田農業活性化緊急対策」。(このCMが流れているのは地方だけでしょうけど) さてこれは何ぞやと思いきや、我が家にも農協からチラシがまわってきました。どうやら平成20年度からむこう5年間、あらたに水田を転作すると一反あたり5万円あげるので、とにかくお米を作らないでくれという政策らしい。しかもこの2月中にその旨を宣言すると、翌3月には一時金を支給してくれるとのこと。札束をちらつかせて今すぐ田んぼをやめることを決断しろという何とも下品なやり方です。そしてこの費用のために組まれた補正予算はなんと500億円也
背景に米余りによる米価下落がありますが、その理由は食生活の変化によるお米の消費減、人口の減少、ここ数年の豊作など複合的なものです。一方で世界全体を見てみると、砂漠化や表土流出による農地の減少、供給不足や投機による穀物の高騰、中国・インド等大国の食生活変化など、食料は世界的には供給不足の傾向です。今は飽食を満喫している日本ではありますが、いずれ近い将来輸入は滞り、さらに農業者の減少や農地の荒廃で食料が足りなくなることは明らかです。そんな状況のもと、もっとも生産効率がよく技術的にも安定している日本の稲作・田んぼを、市場原理だけで今の水準以下にするというその場しのぎの行動は自殺行為そのものではないかと思います。
加えて昨今の農政は、相変わらず大規模化・農地集約化を目指し、大農家のみを担い手として保護しています。しかし小規模農家ほど稲作に依存する割合が低く、且つ兼業農家の人は最初から採算度外視ですから、実は米価の下落でもっとも大きなダメージを受けているのは、国の政策に忠実な担い手の人達。そんな時代遅れな農政の結果がこの事態を招いている一因であることを省みず、今回の対応は相変わらずその場しのぎのばらまき型。決して国民の皆さんに理解の得られるものではないでしょう。(もちろん現場の農家も納得していません) せっかく2006年12月に議員立法で有機農業推進法が成立したにも関わらず、お役人の方々はまだまだ既存の路線から方向転換できていないようです。もっとまともな農業・農村の将来像を描けないのでしょうか。
さて代替案のない批判はあまり説得力がありませんね。どんな形がよりまともなのかゆっくり考えてみたいと思います。

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