この不安定な天気で野菜の価格が高騰しているそうです。農家をやっていながらも、聞いた風な言い方をしているのは、市場に出荷することが全くないから。でも悪天候の影響はこちらも受けていますから、不作でどこの農家も苦労されているだろうことは容易に想像できます。
さてこの野菜高騰を受けて、農水省が規格外野菜の出荷も検討するよう生産者側に要請したとのこと。食は人々の生活を支えるものですから、激しい価格の乱高下は歓迎されるものではないでしょう。しかしこの対応にボクとしては疑問符を付けざるを得ません。
かつて野菜には3年に一度位の頻度で当たり年というものがあって、その儲けで、それまでの赤字を一掃するというサイクルがありました。それが農家の気力と資金力を支えていたのです。(それ自体危ういことですが・・・)いまや日本全体が高齢化したことや、食の多様化で市場規模が縮小傾向にあること、輸入野菜の増加や産地の新規参入などで、価格が高騰すればすぐ元に戻され、当たり年はなくなりました。
日頃農家の方々は市場原理という名目の下、厳しい価格競争に晒されています。今回は天候不順という自助努力では解決できない要因で収穫量が減り、その結果野菜の価格が高騰したわけですから、農家側からすると手取りが増えたわけでもない。むしろせっかく手塩をかけて育てた野菜たちが、長雨のために目前で腐っていったりするのを見て、ストレスを感じているはずです。しかも今になって価格が上がってきたレタスについては、ほんの数週間前までは安値のため、生産調整の名のもと大量に破棄されていたのです。(もちろん共済で丸ごと損をしているわけではありませんが)
後継者不足が言われる農業界。その原因の一つに価格を自分たちで決められない不満、収入の不安定さが挙げられるわけですが、この農産物の安値安定戦略が生産者にとっても本当に是なのか、農水省にはもう一度考えてもらいたいものです。

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