福島・パルセ飯坂で『奇跡のりんご』で話題の木村秋則さんの講演があると聞き参加してきました。会場には何と1000人もの聴衆が。あまりに参加申込が多く(当初定員300名)、会場を大ホールに変更したらしい。それでも会場はいっぱい。木村さんの知名度・注目度の高さにあらためて驚きました。
で、講演開始。ボク自身は木村さんの本は読んだことがなく、実は以前テレビで出演されているのをチラッと見ていた程度。その時の印象は、自分の信念を貫いているうちに気がついたらテレビに出るほど有名になってしまったという感じで、朴とつな人というもの。ところが今回の講演を聴いてその印象が吹っ飛びました。
何と言っても聴衆の掴みかたを知っている。話のテンポや流れも○。2時間という長丁場でも飽きさせません。その力量に素直に感心しました。すみません、素直に講演を聞かずに…。ついクセで斜に構えて入ってしまいます。でも自身の農業に掛ける熱き想いは十分伝わってきました。
で、お話の内容をまことに勝手に分類するなら、彼の主張はいわゆる自然農法という分野に入ります。無施肥、無農薬。さらに細かく分けるなら、自然農法のなかでも、MOA系に近い(らしい)。この分野は実績をあげている人も多いのですが、データ(結果)は取れても、そこから理由付け=科学的な解析、そして技術の汎用化が難しいのです。事実、木村さんは無農薬リンゴを育て上げるのに10年間無収入で頑張った。でも技術は確立しても、それをどう汎用化していくかは有機栽培以上に難しい。彼はそれを認識しているからこそ、広く講演に歩き、組織をつくり自然農法の指導を積極的にしている。その方法は講演を聴く限りあくまでも経験則が基礎である。もちろんそれは当然ですね。彼は百姓・実践者であり、研究者ではありませんから。でも自ら農業をやっている立場からすると、もっと技術論を聞きたいと物足りなさを感じてしまうのです。(今回のお話は1000人の一般の方々が相手ですから、そういう訳にはいかないでしょうが)
有機農業・自然農法という、世間からするとマイナーな世界の人が、これだけの注目を集めている。時代の流れを感じます。でも有機農業の世界がさらに広がるためには多様な視点は必要。「有機JAS=有機農産物の安定的流通」とか「自然農法こそ唯一の救い」とか「徹底的な土壌分析による多収益有機栽培」云々ばかりではだめなわけです。木村さんのようなスターがあと数人ほしいですね。
豊かな自然に育まれたお米・野菜たちってホントに美味しい!
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