喜多方市でも2軒の肥育農家が汚染されたワラを牛に与えたことで関係者が騒然となっています。断片的ですが入手した情報では、
@肥育農家A(稲わらが残っていなかった農家)
放射性セシウム 稲わら 分析できず
尿 ND
稲わらの採取時期 4月17、18日
稲わらの採取場所 塩川地区の自己所有の水田
この稲わらを与えた肥育牛20頭〜30頭は出荷されている
A肥育農家B(稲わらが残っていた農家)
放射性セシウム 稲わら 39,000ベクレル/kg
尿 17ベクレル/kg
稲わらの採取時期 3月20日ごろ
稲わらの採取場所 上三宮地区の水田(稲作農家から入手)
このワラを与えた牛は出荷されていない。
その後全国各地で汚染ワラの問題が判明し、県内の牛は当面出荷自粛。さらに福島県産以外の牛肉で初めて基準値を超えるセシウムが検出され、喜多方市での出来事は全国ニュースから埋没しつつありますが、地元ではあらたなる心配が生まれています。
まずは喜多方市で収穫されたワラから高濃度のセシウムが検出されたということ。「会津は大丈夫」と信じ続けてきた人たちにとって,この事実は重くのしかかります。ワラは春先に田んぼに広く薄く広がっていたものを集めたので降った放射能を集積させているワケですが、それにしても39000ベクレルは高い。ちなみに今年4月に県が土壌検査では、このワラが採取された上三宮から北に3キロほどの加納でセシウム134+137で139ベクレル/キロ。南に6〜7キロの慶徳で同208ベクレル/キロでした。これは表面のワラを取り除き土壌のみをサンプリングしたのですから、耕起してワラを鋤き込んでしまった今、田んぼ土壌中の放射能はもっと高い可能性が出てきました。秋の収穫後、米にどんな結果がでるのか。
次にツイッターでもつぶやきましたが、そこの牛糞堆肥は大丈夫なのかということ。肥育農家は大規模なものが多く、そこで生まれる牛糞堆肥も大量です。近隣の農家はこの堆肥を購入し、田畑に投入します。それもだいたい春先に行われるのです。おそらくかなりの農家にこの堆肥が拡散しているはずです。実は私の仲間の有機農家でも対象になっている農家から牛糞堆肥を購入し、畑に投入していたことが判明しました。農産物(キュウリ、トマト)からは検査の結果セシウムなどの放射能は幸い検出されませんでした。が、牛糞堆肥がどれくらい汚染されているか知りたいと自費で新たに土壌検査を依頼したそうです。
本来、これは行政がやるべきことです。これ以上放射能が知らないうちに拡散していくのを防ぐためにも。なおその知り合いの農家が、牛糞堆肥の拡散経路を調べるべきと喜多方市に口頭で伝えたそうですが、反応は極めて悪かったそうです。相変わらず危機感が欠如しているのか。風評被害だと声を挙げてばかりでは仕事したことにはならないのですが。
幸いひぐらし農園は自己完結を目指して、有畜複合経営という形態をとっています。鶏を飼い、餌に畑の余ったものを多投し、卵と鶏糞を得て、鶏糞を肥料として畑に返す。堆肥を外から購入することはしません。しかしひぐらし農園のもっとも重要なものは米ぬかです。鶏餌とぼかし肥に大量に使用しています。今は昨年収穫された米のぬかなので心配しておりませんが、今年のお米が収穫された後はどう対処すべきか。残念ながら今の農園の規模では自家の米ぬかだけでは到底間に合いませんし、自家の米ぬかと言えども安心できるかの保証は現時点では不明なのです。とりあえず秋に米ぬかの放射能検査を依頼しようかと考えています。
有機農業は有機質の循環が基本です。放射能汚染はこうした循環を断ち切ってしまいました。残念ながらそれらに対処する新たなる方法は今ボクの中では見つかっていません。汚染を心配しながら有機物を田畑に投入し、作物の放射能検査をしてホッと胸をなでおろすなんてロシアンルーレットのようなことをこれからずっと続けるのか・・・。
豊かな自然に育まれたお米・野菜たちってホントに美味しい!
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安心な農産物の生産・提携「ひぐらし農園」

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