農業にとって獣害は深刻です。早稲谷はクマの被害に悩まされれていますが、最近近隣で増えつつあるのがイノシシとサル。
実は獣害で深刻といったらこの二つ。早稲谷ではまだ被害がありませんが、こいつらが来るようになったら、ささやかな自家用野菜の栽培もあきらめざるを得ないというほど徹底的にやられてしまうそうです。
実際にすぐお隣の一ノ木集落、山を挟んで新潟側の奥川集落にはサルの群れが出現して被害も出ています。
そんなわけで市としても本気で獣害対策を取らめばならないと住民向けのセミナーを各地で開催しています。その一つに先日出席してきました。
会場は西会津町奥川地区。数年前からサルの群れの被害を受け、その対策の先進地です。
サルは群れを成しますが、基本的にはメスザルが中心で、オスはある年齢に達すると単独行動にでるそうです。被害は当然集団の方が大きいので、マークするのは群れ。彼らの出現を予測できれば、予め音を立てたりして、「この集落は何だか居心地が悪いな」と思わせるのが被害防止のコツだそうです。
電柵は有効な策ですが、あくまでの対処療法ですから、まずは群れを集落に近づかせないことが大切。
さてどうやって群れの行動を監視するか。それは群れの中の一匹を捕獲し、発信機を付け、その電波を毎日担当者が広大な町内を車を走らせながら拾って、群れの場所を推測するという地道なものです。これをラジオテレメトリー調査というそうです。
まずこの車載アンテナで電波を拾い、
この八木アンテナで方向を定める。これを移動しながら3回程度繰り返し、その線の延長上の交点が群れのいるおおよその場所というものです。
この問題は、発信機を付けるためにメスザルを捕獲する必要があること。毎日サルの電波を特定するための調査隊が必要。いずれにせよそのコストはたいへんなもの。
現在西会津には10の群がいるうちの4つの群れに発信機をつけており、その行動を監視して住民にケーブルテレビで知らせているそうです。
そして群れが来そうな集落では、花火や大きな音を出しながら住民総出で追い立てよということでした。住民総出? そう、女子供、年寄りもすごい形相で追い立てることで、サルに恐怖心を植え付けよというのです。さもなくば、女子供は大したことないと覚えられてしますためだそうです。さらになるべく近づいて花火は打てとの指導も。
受講者から
「いくら花火でサルを追い払ってもいずれ慣れてしまう。一匹駆除して、その亡骸を見せしめにしたらよいのではないかと村の人はいうが、効果は本当にあるのか?」との声がありましたが、その答えは
「サルは利口なようで、そこまで賢くない。仲間の亡骸を見ても、それを見せしめとは思わず、いずれ慣れてしまう。」とのこと。
何だか中世、村を守るために村人総出で石つぶてを敵に投げたという話を思い出しました。
なお喜多方には3つの群れがあるそうで、それぞれ朝倉群、熱塩加納群、宮古群と名付けられています。残念ながら朝倉群にしか発信機を付けたサルがおらず、まずは発信機をつけるためにサルの捕獲から行うということです。
それにしても奥川は美しい村でした。畔草もきれいに刈られ、早稲谷よりも集落が元気な感じがしました。あんなに不便なのになぜでしょうか。
豊かな自然に育まれたお米・野菜たちってホントに美味しい!
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