関わっている「地域の力フォーラム」の視察で、島根県の中山間地域に行ってきました。
島根県の中山間地は日本でもいち早く過疎化が進行した一方で、最近はユニークな地域づくりが功を奏し、IターンやUターンが増え、子供の人口が社会増に転じている自治体があるなど、注目すべき地域になっています。
5月にIIHOEの川北さんが深く関わっている雲南市の事例報告を聞いて、この地域にたいへん興味を持っていたので、今回の視察は楽しみにしていました。
ちなみに今回訪れたのは、山口県との県境にある吉賀町、そして邑南町です。
まずは吉賀町。
2005年に六日市町と柿木村が合併して誕生しました。周囲を1000m前後の山々に囲まれ、美しい田園風景が広がっていました。今回の旅行を通してもった印象は、非常に田畑が畔まで整備されていて、美しいということ。その秘密はどこにあるのか、知りたいと思いながらヒヤリングに臨みました。
村内を流れる高津川。水質日本一の清流です。
今回ヒヤリングしたのは人口わずか2000人足らずの小さな柿木村が長年取り組んできた有機農業による村づくりのこと。
実は柿木村は日本でも有数の有機農業によるむらづくりで、長い実績があるのです。
吉賀町の中でも山が迫って平坦部の少ないこの地域では、長年山と野の資源を利用した自給的な農業が中心でした。
(島根はたたら製鉄に使う炭の生産が盛んなところでした。)
昭和30年に換金作物を中心とする農業が入ってきたものの、オイルショックを機に原点に帰ろうと、一人の役場職員が自給的農業を提案し、以来紆余曲折があったものの、有機農業の里づくりを行ってきたそうです。
島根の中山間地の特徴は広島という100万人都市からわずか2時間足らずで行けるというアクセスの良さ。
同様に瀬戸内海沿いに広がる工業地帯の町にも近いという特徴があります。つまり田舎だけど都会に近い。
生産した農産物は、「商品」でなく「食べ物」であるという自論を基に、こうした地域の消費者と村が直接提携し、農家自らが配達に回ったそうです。
その結果、田舎でよく言われる内にこもるということなく、外の情報をどんどん取り入れる風通しの良い村になったということです。さらに消費者との交流を通じて女性が活躍する風土も同時に形成された(石見地方は出雲地方と較べて伝統的に女性が強いと言っていましたが)とのことでした。
現在は、有機農業組合、加工組合など様々な生産者グループとそれを取りまとめる「食と農かきのきむら企業組合」を組織し、道の駅、グリーンコープなどの流通、みずからが広島県廿日市市に設置したアンテナショップなどに出荷するルートを確保しており、新規就農者でも入りやすい環境が整っているという印象を受けました。
共同の集荷所。様々な野菜が集まっており、ここから各地に発送されます。
そして実際に柿木村、いえ吉賀町全体に就農を希望している移住者が増えているということでした。彼らが目指すのは半農半X。そして周囲の人たちもそれがベストの方法と理解し、応援しているようです。彼らの多くは林業を視野に入れていました。
昼食は古民家を改装したレストラン「草の庭」。移住者のたまり場になっているそうです。ここで定期的な勉強会もしているとか。
昼食。ボリュームたっぷり。美味しく頂きました。
ヒヤリングをしていて、ちょっと気になったのは地域循環。これだけの歴史がありながら、村独自のたい肥センター等はなく、農業者は近隣の大規模畜産、養鶏農家から堆肥を購入しているということでした。
豊かな自然に育まれたお米・野菜たちってホントに美味しい!
〜山間の小さな農業を応援して下さい〜
安心な農産物の生産・提携「ひぐらし農園」

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